電通デジタルと電通は、顧客群の性格特性を可視化してマーケティングに活用する「BPTS(Big5 Personality Trait Segment)」の提供を開始した。10万人規模の調査データとAI・統計モデルを活用し、顧客分析から広告の制作・配信までを支援する。
BPTS、AIと心理学理論で顧客の性格特性を可視化
2026年8月18日に提供が開始されたBPTSは、心理学分野で代表的な「Big5理論(※1)」を基に、顧客群の性格特性をグループ単位で分析するソリューションである。
属性や購買・来店などの行動データだけでは把握しにくい「どのような性格の人が、なぜ広告や商品に反応するのか」という背景の可視化を目指す方針だ。
開発では、パーソナリティ心理学を専門とする早稲田大学の小塩真司教授が監修。
Big5理論の「開放性」「誠実性」「外向性」「協調性」「否定的情動性」の5因子に加え、独自尺度として「獲得特性」「承認特性」「勇気特性」の3つを設定し、計8尺度について10万人規模の調査を実施したという。
調査結果は数理モデルで評価し、回答のばらつきやバイアスを補正したうえで、統計的に安定した潜在的な性格特性データが抽出される。各尺度には相対的に高い「High」と低い「Low」があり、それぞれをイメージした計16体のキャラクターも開発された。
活用領域は、ロイヤル顧客や休眠顧客の分析、広告面・クリエイティブの効果分析、広告配信、CRM(※2)、商品企画などである。
既存の属性・興味関心データとの組み合わせにも対応し、LINEヤフーとの共同分析プロジェクト「SynWA project」を通じた機械学習による広告配信・分析も可能である。
第一弾として「LINEヤフー広告」などへの提供を開始し、今後は他プラットフォームへの拡大も予定されている。
※1 Big5理論:人間の性格を「開放性」「誠実性」「外向性」「協調性」「否定的情動性」の5因子で捉える、パーソナリティ心理学の代表的な理論。
※2 CRM:顧客との関係を管理し、継続的な利用や購買につなげるマーケティング手法。
性格データが広告を変える一方、運用には課題も
BPTSの最大のメリットは、購買やクリックといった「行動の結果」だけでなく、その背景にある性格特性までを分析対象にできる点だろう。
同じ年代や性別の顧客でも、広告に反応する理由は異なる可能性がある。性格特性と広告効果を結び付けられれば、クリエイティブの訴求軸や配信対象をより精緻に設計できそうだ。
また、顧客分析から広告制作、配信、効果検証までを一貫して活用できる点も注目できる。今後対応する媒体が増えれば、性格特性を軸にしたマーケティングが、従来の属性・行動データを補完する新たな分析手法として定着する可能性がある。
一方で、性格という心理的側面をマーケティングに利用することには慎重さも必要となるはずだ。性格特性を固定的な人物像として扱えば、顧客理解を深めるどころか、過度な類型化につながる恐れがある。
BPTSは個人ではなくグループ単位で分析し、HighとLowにも優劣はないとしているため、こうした前提を理解した上で適切な運用を行えるかどうかが重要になりそうだ。
とはいえ今後、電通デジタルと電通が対応媒体を広げれば、マーケティングにおける分析軸は、「誰が買ったか」という属性・行動情報に加え、「なぜ反応したか」という心理的側面にまで拡張が進むかもしれない。
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