2026年7月21日、三菱総合研究所(MRI)は、AIエージェントを活用してサプライチェーン全体への影響を評価する新たな支援サービスの提供を開始した。供給網を可視化し、外部環境の変化による影響分析から対策案の提示までを一気通貫で支援することで、企業の迅速な意思決定を後押しする狙いだ。
AIが供給網を可視化し影響評価を自動化
三菱総合研究所は、自社の「MRI AIインテリジェンス基盤」に、サプライチェーン全体を可視化するコンサルティング支援と、AIエージェントによる影響評価・対策提案機能を追加した。対象は一次サプライヤだけでなく、二次・三次サプライヤまで含めた取引関係や調達品目、拠点であり、従来は把握が難しかった供給網全体を構造的に可視化する。
背景には、地政学リスクや自然災害、政策変更などによる外部環境の不確実性の高まりがある。多くの企業ではサプライチェーン全体を横断的に把握する仕組みが整っておらず、影響範囲の特定や迅速な対策立案が課題となっていた。
新機能では、生成AIを活用して社内外に分散する情報を整理・分析し、供給上のボトルネックとなる取引先や拠点を特定する。さらに、外部環境の変化がどの経路で調達や生産へ波及するかを評価し、代替調達先の検討や生産計画の見直しなどの対策案を提示するとともに、事業KPIへの影響も定量的に示す。今後は関連システムとの連携を進め、自律的なサプライチェーンリスク管理機能の拡充を目指すとしている。
AI主導の供給網管理は競争力を左右する
今回のサービスは、サプライチェーン管理を「問題発生後の対応」から「事前予測と先回りの対策」へ転換する可能性を持つ。供給網全体を可視化し、リスクを迅速に分析できれば、部材不足や物流停滞への対応を早めるだけでなく、経営判断のスピードと精度の向上にもつながるだろう。
一方で、AIの分析精度は、データの品質に大きく左右されると考えられる。サプライヤ情報や調達データが不十分、あるいは更新されていなければ、リスク評価や対策案の妥当性も低下する恐れがある。そのため、AI導入だけでなく、データ整備や運用体制の構築も重要になるとみられる。
今後、AIエージェントがERPやSCMなどの基幹システムと連携し、自律的にリスクを監視・提案する仕組みが普及すれば、サプライチェーンマネジメントのあり方が大きく変化する可能性がある。外部環境の変化が常態化する中、AIを活用した予測型リスクマネジメントは、多くの企業にとって競争力を左右する重要な基盤になっていく可能性がある。
関連記事:
富士通が自己進化型AI基盤「Fujitsu Kozuchi Multi AI Agent Framework」を開発 業務知識からエージェントを自動構成