日本発のパブリックブロックチェーンAstar Networkの「Astar Supernova」を考察

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毎年ドバイとシンガポールで開催されるCryptoのイベントTOKEN2049にて、2023年9月13日Astar Networkが新たな構想である「Astar Supernova」を発表しました。

日本発のパブリックブロックチェーンであり、様々な日本の大企業との連携の発表も絶えないAstar networkが今後どのようなことを目指すのか以下考察します。

目次

Astar Networkとは

Astar Network 公式HPより

まずは、Astarの基本的な概要を下記します。

AstarはPolkadotエコシステム最大のスマートコントラクトプラットフォームで、WasmとEVMの両方をサポートしています。Polkadotエコシステム参加していることに加え、Ethereum、BSC、Cosmos、Polygonなどの他の主要エコシステムへのブリッジも持っています。さらに特徴として、#Build2Earnプログラムを通じて、ベーシックインカムをdApp開発者に提供し、Astarインキュベーションプログラムを通じてプロジェクトに直接資金を提供しています。

また、Astarは、エンタープライズ、エンターテイメント、ゲームなど様々なプロジェクトが日本、そして世界へ進出するためのハブとして機能しており、業界をリードする日本市場向けブロックチェーンとして、PolkadotとPolygonが提供するエコシステムにより、Web3のマスアダプションを推進しています。

Astar zkEVMは、ゼロ・ナレッジ(ZK)技術によりイーサリアム上でweb3体験をスケールさせる新しいレイヤー2ソリューションであり、Astar Networkは、イーサリアム上の既存のスマートコントラクト、開発者ツール、ウォレットとシームレスに統合するEVMと同等の環境をプロトコルへ追加します。

Astar Network 公式HP:https://astar.network/ja

Astar Network、Polygon Labsとの協業し、Ethereumレイヤー2のAstar zkEVMを提供

Astar Network 公式より

では具体的にAstar Supernova構想を見ていきましょう。

2023年9月13日、アジア最大級のWeb3カンファレンス「Token2049」においてAstar Networkの新ブロックチェーン 「Astar zkEVM Powered by Polygon」(以下 Astar zkEVM)の提供を発表しました。

「Astar zkEVM Powered by Polygon」の開発提供を通じ、Astar NetworkとPolygon Labsは日本におけるWeb3のマスアダプションに向け連携します。Astar zkEVMはゼロ知識証明を活用したPolygon CDK(Chain Developer Kit)を採用して開発され、Astar zkEVMを通じて日本のWeb3事業展開を強力に推進し、従来のAstarエコシステムの更なる拡大を目指すとのことです。

今回の発表内容を下記見ていきましょう。

Astar zkEVMとは?

Astar zkEVMはブロックチェーン最大規模のユーザー数を有するEthereumの拡張機能であるレイヤー2技術を実装し、EVM環境と同等のEVM等価性を保持しています。Astar zkEVMのベースとなるPolygon CDKはオープンソース化され、かつ50以上のグローバル企業や主要プロトコルが開発に参加しています。

Astar NetworkはPolygon Labsとの協業を通じ、新たなEthereumレイヤー2としてAstar zkEVMを開発・提供し、zkEVMの展開に取り組むグローバルコミュニティに参画します。本ブロックチェーンは、Astar Networkのエコシステムが提供してきた相互運用性に加え、ネットワーク上の取引処理を行う際にゼロ知識証明(zk Proof)と呼ばれる技術を活用することにより、より高度な処理能力・拡張性(スケーラビリティ)・安全性・UXを実現できます。既に現在、Astar zkEVMにはグローバルの様々なWeb3ツールが対応され、ガスレストランザクションやアカウントアブストラクションなどマスアダプションに向けたソリューションが提供されていく予定です。

Astar zkEVMで実現したいこと

Astar NetworkはこれまでWeb3の技術基盤として、拡張性や相互運用性の分野において様々なナレッジを蓄積してきました。今回zkEVMを新たな技術要素として加えることで、従来のPolkadotエコシステムに加え、EthereumやPolygonの開発者コミュニティにも積極的に門戸を広げます。エコシステムの強化と技術水準の向上を通じて、Web3のマスアダプションを加速して参ります。

またAstar Networkは、セキュリティ要件に厳格な日本のトップ企業や著名なIP・ゲームコンテンツとの協業を強みの1つとして来たため、zkEVMの導入とAstar Networkには高いシナジー効果があり、またAstar Networkのユニークな顧客基盤はEthereumレイヤー2によるzkEVMの革新的なユースケース創出に大きく貢献します。

Ethereumへのトランザクションにおけるデータ圧縮の過程でzkテクノロジーによる検証を行うzkEVMは、トランザクションの合法性を前提としたOptimistic Rollupを採用するスケーリング手法に比べ、より高い秘匿性と安定した負荷分散性が期待できます。一方で、その複雑性により実装までのリードタイムを長めに見積もられてきました。しかし、Polygon Labs等の貢献もあって実現した素早い実装は、ZKテクノロジーの未来を展望する上で重要な要素であり、レイヤー1のAstar Networkが、そのレイヤー2への参入においてAstar zkEVMの提供とPolygon Labsとの協業を決定した要因の1つでもあります。

Astar Networkが目指す先

URL

今回の発表を受け、Polygon founder及びAstar Network founderからコメントが発表されていますので、目指すビジョンと共に見ていきましょう。

Polygon Co-Founder Sandeep Nailwal氏からのコメント

「アジアはWeb3に対して世界で最も先進的な地域の1つだと考えており、Astarとのコラボレーションを通じて日本のブロックチェーン業界のさらなる成長の力になれることを嬉しく思います。私たちは共に、分散化がもたらす高い透明性が日本にとってさまざまな恩恵をもたらすと信じています。」

Astar Network Founder 渡辺創太からのコメント

「Astar zkEVMを軸としたAstar NetworkとPolygon Labsの密な連携は、そのゴールとしてWeb3業界及び日本経済の成長ドライバーとなることを目指しています。Astar NetworkとPolygon Labsは、これまでに世界的なIPコンテンツやゲームタイトル、グローバルに活躍するトップ企業、地方創生に取組む自治体に至るまで、様々なコンテンツ・組織と共に多岐に渡るプロジェクトを起案・実行して参りました。その豊富な経験に基づき、今後はPolygon Labsと共にAstar zkEVM を通て日本企業のWeb3進出をサポートし、ブロックチェーン技術の社会実装を更に加速します。」

目指す先

日本は、世界的な支持を得るゲームタイトルやコミック、IPコンテンツを数多く擁する市場として世界中のWeb3トッププレイヤーから注目されています。国内のコンテンツをグローバルへ発信するのはAstar Networkのミッションです。Astar zkEVMを通して、既存のPolkadotエコシステムに加え、Ethereumエコシステムの両方でプレゼンスを発揮します。創作活動がより持続可能な形でグローバル展開し、継続的なユーザー・ファンコミュニティの運営を目指します。そして日本からWeb3事業の先進事例を更に創出していくため、各事業領域のトッププレイヤーとの連携・協業をより一層深め、Astar zkEVMが最も信頼されるチェーンとなることを目指します。

Astar Networkの最近の動向

Astar Networkは様々な企業との連携やハッカソンの開催を頻繁に行っていますので、最近の動向を見ていきましょう。

TECHFUNDとのパートナーシップ締結

プレスリリースより

2023年9月27日、TECHFUNDは、Astar Networkとパートナーシップを締結することを発表しました。

TECHFUNDは、発見した脆弱性のレベルと数に応じて最適な監査費用が決定される「成果報酬型Web3セキュリティ監査サービス『Hi AUDIT』」のサービス運営を通してBlockchain・Web3領域のセキュリティ技術や脆弱性発見ノウハウを多く培ってきました。
今回のパートナーシップ締結により、Astar Networkを用いたWeb3プロダクト開発のセキュリティ監査をTECHFUNDが実施することで、Astar Networkエコシステムのセキュリティ面での強力な支援体制を実現するとのことでございます。

web3グローバルハッカソン2023への登壇

プレスリリースより

2023年9月22日、博報堂キースリーは、ブロックチェーンをはじめとする分散型技術を活用する次世代インターネット「web3」を日常生活に普及させるために、生活者が試してみたくなるような体験・サービス開発を目指し、web3ハッカソンの企画や運営を推進しております、マツダと三菱地所を協賛に迎え、世界中のエンジニアやクリエイターを対象とした「web3グローバルハッカソン2023」を開することを発表しました。Astar Networkのfounderである渡辺氏も本イベントに登壇予定とのことです。

今後の展望

Astar Networkの発表を受け、Web3のマスアダプションの動きが種々のレイヤーで盛んとなっています。今後のWeb3業界が向かう先を考察します。

ブロックチェーンのハブに

Astar Networkは、今回元々ブロックチェーンのハブになることを掲げており今回の発表もその1つとなります。しかし、イーサリアムと互換性のあるPolygonと提携したことが大きなインパクトをもたらします。Astar NetworkはこれまでPolkadotエコシステムにて動いていましたが、イーサリアムのエコシステムへも参加することになります(それもAstar zkEVMという形で)。Web3業界の現状を見ても、今後も様々なブロックチェーンが共存していくと考えられる中で、イーサリアムのエコシステムへ参加し、ブロックチェーン同士のハブになることができるのはとてもインパクトが大きいものでしょう。

ブロックチェーン技術の社会実装

イーサリアムのエコシステムへ参加したことに加え、zkEVMという形態を取ったことが非常にインパクトがあります。改めたzkEVM(zero-knowledge Ethereum Virtual Machine)とは、関係にいうとイーサリアムのスケーラビリティの課題を解決するものです。既に日本の大企業と複数のパートナシップ締結を発表しているため、今後ブロックチェーンの性能が上がっていくことで、例えばNFTを配布する等シンプルなブロックチェーンの活用方法からさらに様々な活用方法が可能になり様々なビジネスを展開し日本のプレゼンスの向上へとも繋がっていきます

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