舞浜駅タクシー乗り場にデジタルサイネージとAI監視カメラ導入

2025年4月1日、千葉県タクシー協会京葉支部・京葉地区タクシー運営協議会は、JR舞浜駅のタクシー乗り場において、「デジタルサイネージと監視カメラ等」の運用を開始したと発表した。AI技術を活用し、利用者への情報提供の充実と、乗降場における安全性の向上が期待される。
混雑緩和・防災に貢献、駅で活用されるAIと情報発信設備
今回導入された設備は、鉄道・バス・タクシーなど各種公共交通機関の秩序維持に役立つもので、混雑の緩和や防犯・防災対応といったオーバーツーリズム対策としても活用される見込みだ。
また、デジタルサイネージ(※)の設置により、「外国人旅行者に向けた多言語対応の動画案内が可能となった」という。
さらに、デジタルサイネージは、将来的に浦安市の防災行政無線システムと連携し、災害発生時には避難誘導などの情報発信を行う機能も備えられる予定である。
また、AIを活用した監視カメラの導入により、バス会社やタクシー各社の配車センターでは、乗り場の混雑状況をリアルタイムで確認できるようになる。これにより、車両のスムーズな運行や混雑の緩和につながると期待されている。
さらに、防犯協定を結んでいる千葉県警察や浦安警察署とも連携し、犯罪の捜査や未然防止にも役立てられる見通しだ。
同協会担当者によると、防災行政無線との連携に加え、災害時の状況確認や帰宅困難者の把握、公衆無線や災害用コンセントの活用なども視野に入れているという。
「今回設置した駅モニタリングシステムの他、既存のシステムも活用して皆さまの安全、安心な社会づくりに貢献していきたい」との方針を語った。
※デジタルサイネージ:電子的な表示装置を用いて、情報や広告を表示するシステム。従来の看板やポスターに比べ、内容の更新が容易で、動的なコンテンツの表示が可能。
今後の展望と技術活用の可能性
今回導入された設備では、複数のメリットが期待される。
とりわけ、AIを活用した監視カメラによる混雑状況のリアルタイム把握は、バスやタクシーの運行効率向上に資するものであり、交通機関の利用者にとっても利便性の高い取り組みと評価できるだろう。
さらに、デジタルサイネージによる案内は、外国人旅行者の増加に対応するうえで有効な施策であり、インバウンド需要の受け入れ環境整備として一定の意義を持つと考えられる。
防災行政無線との連携機能も、災害時の避難誘導などにおいて地域の防災力を高める要素となるだろう。
一方で、導入コストや運用面での課題も無視できない。
AI監視カメラやデジタルサイネージなどの高度なシステムは、初期投資だけでなく、メンテナンスや運用体制の整備が必要になる可能性が高いと考えられる。
また、リアルタイムでの監視や情報提供が可能である一方、プライバシー保護とのバランスも慎重に検討すべきであるといえる。監視体制の強化が過剰な管理と受け取られれば、住民の理解や協力が得づらくなるおそれもあるだろう。
行政・交通事業者・警察などの関係機関が連携を深めながら、運用上の課題を共有し、地域に根差した持続可能な仕組みへと発展させていくことが、今後求められるのではないだろうか。