NTTドコモの前田義晃社長は決算説明会で、5G基地局数がKDDIやソフトバンクを下回る理由を説明した。
通信容量を増やせるサブ6帯の整備を優先する一方、5GのSA化を前倒しし、年度設備投資計画を9000億円へ引き上げる。
基地局数は他社の半分以下、サブ6整備を優先
総務省が10月30日に公表した調査によると、2026年3月末時点のドコモの5G基地局数は5万8979局だった。
KDDIグループの13万1042局、ソフトバンクの12万564局を大幅に下回る。ドコモは4〜9月に4500局を新設し、9月末時点の累計は6万3300局となった。
2026年11月4日、ドコモの前田社長は基地局を増やす意向を示しつつ、工事を担う現場の対応能力には限界があると説明した。
通信量が毎年20%以上増える中、設備投資の優先順位が重要になるという。
同社が優先するのは、3.7GHz帯や4.5GHz帯を使うサブ6(※)の整備だ。前田氏によれば、4G周波数を5Gに転用しても通信容量の増加は限定的であり、容量拡大の効果が大きいサブ6から整備を進めている。
また、4G周波数の転用には基地局を収容する装置の交換工事が必要となる。
前田氏は、通信容量の拡大、4G周波数の5G転用、SA化の3つを同時並行で進めることの難しさにも言及した。
設備投資も拡大する。2026年度上期の投資額は前年同期比415億円増の3970億円となり、通期計画も従来の8570億円から9000億円へ430億円引き上げた。
SA化に対応する設備増強を前倒しするほか、メモリー価格の上昇を見据えて装置の早期調達を進める方針だ。
基地局については年度内に1万局以上を構築する目標を維持する方針だ。
前田氏は他社への追いつきについて、主にサブ6の基地局数を念頭に置いた発言だったと説明した。
通信品質の改善も進めているという。
一部イベント会場に導入したノキア製の新装置では通信速度が約20〜30%向上し、主要59鉄道路線のうち30路線で動画を快適に視聴できる水準を達成した。年度末までに39路線以上へ拡大する計画である。
※サブ6:5Gで利用される6GHz未満の周波数帯の総称。ドコモが優先する3.7GHz帯と4.5GHz帯などが該当する。比較的広い帯域を確保でき、通信容量の拡大に適している。
基地局数より通信品質重視、投資効率が競争力を左右か
ドコモの戦略は、基地局の総数を競うのではなく、通信容量の拡大を優先している点に特徴があると言える。
利用者にとって重要なのは基地局数そのものより、混雑した場所でも安定した通信を利用できるかどうかだろう。サブ6への重点投資が進めば、データ通信が集中する都市部やイベント会場での品質改善につながる可能性がある。
SA化の前倒しも、中長期的な競争力を高める要因となり得る。通信基盤が高度化すれば、低遅延通信を必要とする産業用途や新たな法人向けサービスの展開余地が広がるかもしれない。
一方、設備投資の増加は収益面での負担となるだろう。装置価格の上昇が長期化すれば、通信品質の改善と投資効率の両立はさらに難しくなるはずだ。
また、サブ6を優先することで周波数転用が遅れれば、広域での5G利用環境の整備に影響する懸念もある。
今後は基地局数の比較だけでなく、実際の通信速度や混雑時の安定性が競争力を左右すると考えられる。
ドコモが重点投資を利用者の体感品質向上につなげられるかが、他社との差を縮める鍵となりそうだ。
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