ドコモSMTBネット銀行は、AWSのAI技術を活用した電話・チャット横断型の顧客応対AI基盤を本番稼働させたと発表した。共通のナレッジと対話設計により、問い合わせ対応の効率化と顧客体験の向上を目指す。
電話・チャットを横断する顧客応対AI基盤が本番稼働
ドコモSMTBネット銀行は2026年10月28日、AWSが提供する「Amazon Connect Customer AI agents」を活用した顧客応対AI基盤について、同年9月から本番稼働を開始したと発表した。
電話とチャットの双方に対応し、共通のナレッジと対話設計を通じて、問い合わせ内容に応じた案内を行う仕組みである。
同基盤では、顧客の発話や入力内容から質問の背景にある目的や意図を読み取り、必要に応じて追加の確認を行う。そのうえで、関連するFAQや各種手続きへ誘導する仕組みが採用されている。
また、FAQや手続き案内などAIが対応できる領域と、個別確認や高度な判断を必要とする領域に切り分けられている。後者についてはオペレーターへ引き継ぐことで、AIによる自己解決の利便性と有人対応の安心感を両立させる方針だ。
さらに、問い合わせ内容や応対結果を分析し、FAQや対話設計、AIの応答内容を継続的に改善するとしている。
同社は生成AIが広く注目される以前から、住宅ローン審査やAI与信モデルなどでAIを活用してきた。2024年8月には一部の電話窓口で生成AIによる自動応対を開始し、現在は銀行アプリでもAIエージェント「NEOBANK ai」のベータテストを進めている。
今後同社は、顧客接点で得られる問い合わせ内容や行動データをサービス開発、マーケティングの高度化にも活用する考えだ。
将来的には、必要な金融サービスがくらしや事業の中で自然に機能する「インビジブルバンキング」の実現も目指している。
顧客体験の向上に期待 回答精度と有人対応への切り替えが課題か
電話とチャットで共通のナレッジを利用する仕組みは、問い合わせ窓口ごとの案内内容のばらつきを抑えるうえで有効と考えられる。顧客が利用するチャネルを変えても一貫した情報を得られれば、手続きの途中で迷う場面も減るだろう。
また、質問の表現が曖昧でも目的を推測し、必要な情報へ誘導できれば、顧客自身がFAQを探し回る負担の軽減にもつながりそうだ。金融サービスでは手続きの複雑さが利用の障壁になり得るため、自然な対話による案内は利便性を高める可能性がある。
一方、AIの回答精度が不十分な場合には、誤った案内や意図しない手続きへの誘導が発生する懸念も残る。特に金融分野では、案内内容の正確性が顧客の判断に影響するため、有人対応への適切な切り替えと回答内容の検証が重要になるだろう。
今後の焦点は、問い合わせ対応の自動化だけでなく、蓄積した顧客の声を金融サービスそのものの改善へ結び付けられるかどうかにありそうだ。
アプリ・電話・チャットのAI活用が連携すれば、銀行との接点は手続き中心から目的中心へと変わるかもしれない。
同社のAI戦略が利便性と安全性を両立できるか、引き続き注目したい。
関連記事:
かんぽ生命がAIモニタリング導入 月6000件の応対を自動評価

KDDI、生成AIの自律型エージェント導入 顧客対応の自動化を開始

三井住友銀行、Olive向け「AIオペレーター」提供へ 一般照会に24時間対応
