2026年9月30日、株式会社アダストリアはAIと人間が共創する新アパレルブランド「ELMIRA(エルミラ)」の立ち上げを発表した。平均価格約3000円という低価格で大人女性向けエレガントファッションを提供する。
AIモデル「AI SHIHO」誕生 徹底した業務効率化で高品質と低価格を両立
アンドエスティHDグループの株式会社アダストリアは、40代〜60代の女性を対象とした新ブランド「ELMIRA」を始動する。公式WEBストア「and ST」にて2026年10月8日より順次販売を開始する予定だ。
従来のアパレル業界における技術活用は、省人化や自動化に重きが置かれるケースが多い。しかし本ブランドでは、クリエイターとデジタル技術の「共創」をコンセプトに掲げている。その象徴として、実在モデルの撮影データを根拠に生成・IP(※)化した専属AIモデル「AI SHIHO」を誕生させた。人間の感性とテクノロジーを融合させ、ぬくもりを感じさせる高品質なビジュアル発信を目指す。
さらに、AIを活用した業務プロセスの効率化によって少人数での運用を可能にし、仕立ての良さを維持しながら平均3000円前後というコストパフォーマンスを実現した。ラインアップには体型を美しく見せる3300円のプルオーバーニットや2970円のパンツなどが揃う。
※IP:知的財産(Intellectual Property)の略。キャラクターやデザイン、モデルの権利情報などをビジネス資産として権利化したものを指す。
データ駆動型の服作りへ 業界に新風を吹き込むも浸透には課題
今回の試みは、単なるビジュアル制作の領域にとどまらない可能性を秘めている。同ブランドは今後、市場データの解析や商品企画にもAIを投入する方針を明かしている。消費者の潜在的な要望を迅速に汲み取り、製品開発へ還元する仕組みを整える計画だ。
テクノロジー主導の効率化は、物価高が続く市場において「低価格かつ上質」な選択肢を求める消費者にとって強力な魅力となるだろう。クリエイターの表現力とデータ分析の精度が噛み合えば、アパレル製造の新たな標準モデルとして定着する公算が大きい。
一方で、AI生成モデルを用いた販促表現が消費者にどこまで親しまれるかについては、今後の反応を見極める必要がある。実在感やブランドへの愛着をいかに醸成していくかが、持続的な成長に向けた鍵を握ると言える。
アパレル領域における人間とデジタルの新しい関係性が、業界全体の構造変化を促す契機になるか注目が集まる。