米NVIDIAはエッジAI向けロボティクスコンピューター「Jetson Orin Nano 2」を発表した。AI演算性能は78TOPSに達し、前世代比で推論性能を2倍に高めている。
NVIDIA、推論性能2倍のJetson Orin Nano 2発表
2026年8月25日にNVIDIAが発表したJetson Orin Nano 2は、ロボットや配送・検査用ドローン、ビジョンAIシステムなどにAI機能を組み込むためのコンピューターである。8GBメモリと8コアArm CPUを搭載し、AI演算性能は78TOPS(※)に達する。
Jetson Orin Nano Superと比べて推論性能を2倍に高めながら、コンパクトなフォームファクターを維持した。Tensor Coresの改良とメモリ帯域幅の向上により、15Wモードでは前世代と同等の性能を40%少ない消費電力で実現するとしている。
さらに、JetsonのオープンソフトウェアスタックやJetson agent skills、AIエコシステムを活用し、NVIDIA Cosmos、NVIDIA Nemotron、Gemma 4、Qwen 3など、メモリー効率を考慮したエッジ推論向けモデルを実行できる。
NVIDIAは、AIモデルの小型化と高効率化によって、エッジ機器が文脈を理解し、言語や画像を解釈し、リアルタイムに行動する自律システムになり得ると説明した。
同社によると、ロボティクス向けソフトウェアスタックを利用して開発する開発者は300万人を超えている。Cognex、Doosan Bobcat、MaticなどがJetson Orin Nano 2を採用・検討しており、Maticは家庭用清掃ロボットへの搭載を進めているほか、Wingも配送ドローンで評価する予定だ。
AAEON、ADLINK、Advantechなど複数のパートナーも、顧客の市場投入までの時間短縮を支援するため、キャリアボードやハードウェアシステム、カスタムAIソフトウェア、リファレンスソリューションを開発している。
なお、モジュールと開発者キットについては、2027年前半に提供開始する予定としている。
※TOPS:1秒間に実行できるAI演算の規模を示す指標。「78TOPS」は毎秒78兆回規模の演算性能を意味する。
省電力化がエッジAIの選択肢を広げるか
今回の強化によって、小型機器でもAIによる認識や推論をリアルタイムに処理しやすくなるとみられる。特に消費電力を抑えながら性能を高められる点は、バッテリー容量に制約があるロボットやドローンで利点になりそうだ。
また、開発者やハードウェアパートナーが形成するエコシステムを活用できれば、企業がエッジAIを組み込んだ機器を開発する際の負担を抑えられる可能性がある。
一方で、演算性能が高まっても、搭載するAIモデルのサイズや処理内容によって実際の負荷は異なるはずだ。高度な生成AIをエッジ環境で安定して動かすには、モデルの最適化やメモリ効率も重要になるだろう。
今後は、2027年前半の提供開始後、実際のロボットやドローンなどで性能と省電力性をどこまで両立できるかが焦点になりそうだ。
小型機器で生成AIを扱える範囲が広がることで、エッジAIを前提とした製品開発にも変化が生まれるか、引き続き注目したい。
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