2026年8月25日、千葉市の株式会社ウェザーニューズは、気象災害による経済被害額と気象情報活用による損失軽減効果を算出する新エンジン「ROI Generator」を開発したと発表した。生成AIを活用して財務インパクトを迅速に推計し、企業や自治体のBCPや気候変動対策への投資判断を支援する。
生成AIで災害損失と対策効果を試算
「ROI Generator」は台風や豪雨、熱波などの気象災害が社会や企業にもたらす経済被害額と、気象情報を活用した場合に期待できる損失軽減効果を算出する独自エンジンである。生成AIを用いて公的機関や報道機関、企業が発信する災害情報を迅速に収集・整理し、自社が保有する気象データや業界ごとの被害に関する知見を組み合わせることで、速報値として経済被害額を推計する。
さらに企業の事業拠点や自治体の地域特性、防災方針、気象情報の利用状況などを反映し、想定される損失額とサービス導入費用を比較することで、気象対策の費用対効果を可視化する仕組みも備える。
実際の試算では、「令和8年8月千葉豪雨」による千葉県内の経済被害額を約37億〜111億円と推計したほか、2026年6月以降の欧州熱波では経済損失が最大約24兆円に達する可能性があると算出した。異なる災害を共通の金額指標で比較できるため、被害規模を早い段階で把握しやすくなる点も特徴と言える。
防災をコストから投資へ転換できるか
近年は気候変動の影響により極端な気象現象が増え、企業のサプライチェーンや地域インフラへの影響が拡大している。一方で防災対策の効果は業種や地域、施設の特性によって大きく異なるため、投資判断を客観的に行うことは容易ではなかった。
「ROI Generator」は気象リスクを財務インパクトとして定量化することで、防災や減災を単なるコストではなく、将来の損失を抑えるための投資として評価しやすくする可能性がある。企業経営ではBCPの強化、自治体では気候変動適応策の優先順位付けなど、意思決定を支える材料として活用が期待される。
一方で推計結果は災害発生直後に収集できる情報や前提条件に左右されるため、新たな被害状況が判明すれば数値が更新される点には留意が必要である。また業種ごとの実際の対策効果を正確に反映するには、継続的な検証とデータ蓄積が欠かせない。
ウェザーニューズは今後、鉄道や高速道路事業者など顧客企業との共同検証を進めながら機能を改善し、国内外の災害に対する経済影響の発信を強化する方針だ。生成AIと長年蓄積した気象データを組み合わせた新たな分析基盤が、防災・減災の意思決定を支えるインフラへ発展するか注目される。