中国のAI企業Z.aiは最新モデル「GLM-5.3」を発表した。基盤モデルを変更せず、ポストトレーニングの拡大だけで長時間のコーディング能力を高め、脆弱性発見や攻撃経路の推論でも大幅な性能向上を実現している。
GLM-5.3、長時間コーディング性能が大幅向上
2026年8月14日にリリースされたGLM-5.3はGLM-5.2と同じ基盤モデルを使用し、追加学習の規模拡大によって性能を伸ばしたモデルである。Z.aiは実際の開発業務に近い長時間タスクを増やし、計算資源やコード、社内文書などを扱いながら、問題分析から修正、検証までを一貫して進める能力を強化した。
公開ベンチマークでは、Terminal-Bench 3.0がGLM-5.2の4.6から28.3、DeepSWE v1.1が46.2から66.9へ向上した。これはKimi K3の67.5というスコアに肉薄するスコアである。
自社のZ.ai Code Benchでも最大努力設定で34.5%を記録し、GLM-5.2の23.4%を上回る一方、1タスク当たりの出力トークンは約9万6,000から約7万5,000へ減少している。
サイバーセキュリティ能力においても進歩が見られる。脆弱性発見を評価するCyberGymでは84.5%と比較モデル中で最高を記録し、Kimi K3の80.0を上回った。
実際の脆弱性悪用能力を測るExploitBenchも24.4%から54.4%へ倍増した。
ベンチマークを超える実際のテストとして、Z.aiは実際のコードベースに対してもモデルを実行してきた。結果、実世界の269件のオープンソースプロジェクトでも2,436件の脆弱性を追跡しており、このうち高危険度(Critical & High)は1,097件としている。
自律開発を後押しする一方、サイバー悪用リスクも焦点に
GLM-5.3は、「コードを生成する道具」にとどまらず、数時間から数日に及ぶ開発工程を自律的に進めるエージェントとしての性格をより強めている。複雑な問題の診断、実装、実験、検証までを一つのモデルが担えれば、開発者が細かな作業へ分解して逐次指示する負担を減らせる可能性がある。
一方、脆弱性の発見だけでなく、複数段階の攻撃経路まで推論できる能力の向上は、セキュリティ面で両刃の剣となる。防御側では長年見逃されてきた欠陥を効率よく検出できるものの、同じ能力が不正アクセスや攻撃自動化へ転用されるリスクも無視できない。
Z.aiは安全性評価と追加の防御措置を終えた後、発表から2週間後をめどにGLM-5.3のモデル重みを公開する予定だ。今後はコーディング性能だけでなく、高度なサイバー能力を備えたオープンウェイトモデルをどのように安全に公開・運用するかが、AI企業全体にとって重要な論点になると考えられる。
「GLM-5.3: Frontier Coding with Emergent Cyber Capabilities」
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