2026年8月4日、国内のSalesforceは、日本企業のIT意思決定者・テクノロジーリーダー277名を対象とした「AI投資に関する調査」の結果を発表した。約50%がAI投資のROI証明を最大の課題に挙げ、AI活用は「試す」段階から成果を問われる局面へ移行している。
AI投資の最大課題は「ROI証明」
調査では、AI活用における課題の上位として「AI投資のROI証明」が50%(137件)で最多となった。「人間とAIの役割分担の設計」は41%(113件)、「複雑な業務プロセスへの適用」は38%(105件)で続いている。
背景には、AI導入への投資意欲が高まる一方、経営層に効果を数値で示しにくいという問題がある。AIそのものを導入するだけではROIは自動的に生まれず、AIによって生じた業務上の変化を測定可能な指標へ変換する必要がある。
Salesforceは、この課題への対応として「4つのR」を提唱する。業務を人とAIエージェントの協働を前提に作り直す「Redesign」、必要なスキルを身につける「Reskill」、創出した時間や人材を戦略業務へ振り向ける「Redeploy」、人とAIの役割を継続的に最適化する「Rebalance」という考え方だ。
同社は自社サイトにAgentforceを本番導入し、累計420万回の問い合わせに対応。その70%をAIエージェントが自律的に解決したとしている。
AI活用は「導入」から「価値転換」へ
今回の調査結果にて、企業のAI戦略において「導入件数」や「利用率」だけでなく、創出した時間をどのように企業価値へ転換したかが重要になることを示した。業務プロセスを再設計し、浮いたリソースを営業や企画など付加価値の高い領域へ再配置できれば、AI投資の成果を経営指標と結びつけやすくなるだろう。
一方、AIへの権限移譲を進めるほど、人間による監督や責任分担、業務品質の管理も重要になる。単純な自動化では解決できない複雑な業務では、期待したROIを得られない可能性もある。
今後は、AIを「導入するか」ではなく、「導入後に何を変え、どの成果を生み出すか」が投資判断の軸になると考えられる。Salesforceが示す4つのRは、AIを個人の生産性向上にとどめず、組織全体の価値創出へつなげるための指針として注目されそうだ。