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Muse Codeとは?Metaが公開したAIコーディングエージェント

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PlusWeb3 編集部 Web3・AI専門メディア

2026年8月、Metaはソフトウェア開発を支援する「Muse Code」のベータ版を公開しました。Muse Codeは、MetaのAIモデル「Muse Spark 1.2」を使い、大規模なソフトウェアでも変更内容の計画からコード作成、結果の確認までを進められるAIコーディングエージェントです。複数のAIが裏側で作業を分担する仕組みや、途中で処理が止まっても続きから再開しやすい設計も取り入れています。

さらに、動画を読み取ってWebページを作るデモも公開されており、コード生成だけにとどまらない使い方が見えてきました。Muse Codeの特徴や仕組み、今後の開発現場への広がりを整理するため、本プロジェクトの詳細を考察します。

Muse Codeとは?開発作業を進めるMetaのAIエージェント

Muse Codeは、Metaが2026年8月5日にベータ版として公開した、ソフトウェア開発向けのAIコーディングエージェントです。ここでいうAIエージェントとは、質問に答えるだけではなく、与えられた目的に向かって必要な作業を順番に進めるAIを指します。

Muse Codeは、開発者が普段使うターミナルと呼ばれる文字入力中心の画面から利用します。対応環境としてmacOSとLinuxが案内されています。大きなソフトウェアのコード一式を扱いながら、どこを変更するのか計画し、実際にコードを書き、変更した結果に問題がないか確かめるところまで対応することを想定しています。

Muse Codeを動かす中心となるAIが「Muse Spark 1.2」です。Muse Codeが作業を行うための環境だとすれば、Muse Spark 1.2は内容を理解して判断する頭脳に近い役割を持ちます。コードの一部分を提案するだけではなく、目的を確認しながら複数の工程をつないでいくことが、Muse Codeの大きな特徴です。

そのためMuse Codeは、単に「コードを書いてもらうためのAI」というよりも、開発者から任された仕事を整理し、完成に向けて作業を進めるためのAIツールとして位置づけるとわかりやすいでしょう。

参照:Meta AI Research「Introducing Muse Code and Muse Spark 1.2」

Muse Codeを支える3つの仕組み

Muse Codeでは、AIモデルの性能だけに頼るのではなく、複雑な開発作業を進めやすくするための仕組みが用意されています。特に特徴的なのが、複数のAIが裏側で作業する仕組み、途中までの作業を記録する仕組み、目的に合わせて使える専用機能です。ここでは、Muse Codeを支える3つの仕組みを紹介します。

複数のAIが裏側で作業を分担する

Muse Codeでは、中心となるAIだけですべての作業を行うのではなく、複数のAIが裏側で動きながら作業を支えます。Metaはこれらをバックグラウンドエージェントと呼んでいます。

特徴は、必要になるたびに新しいAIを呼び出すのではなく、一度動き始めたAIがその作業中は継続して活動する点です。たとえば、コードの中から関連する情報を探した場合、その情報を毎回最初から集め直す必要を減らせます。

それぞれのAIは必要な作業を進め、伝えるべき情報ができた段階で中心となるAIへ内容を返します。大きなソフトウェアでは、関係するファイルを探したり、変更による影響を確認したりと、多くの作業が発生します。こうした工程を複数のAIが分担することで、人が一つひとつ細かく指示し続けなくても、複数の作業を進めやすくする設計になっています。

途中で止まっても作業を続けやすい

長時間にわたる開発作業では、途中で処理が止まったり、予期しない問題が発生したりする可能性があります。Muse Codeでは、こうした状況を想定した仕組みも用意されています。

Muse Codeは、AIが行った判断やツールの実行、人による確認、コードの変更などを、端末内の記録に順番に残します。何を行ったのかが一つの記録として残るため、途中で処理が止まった場合でも、それまでの作業をすべて最初からやり直す必要を減らせます。

Metaは、停止した位置から正確に再開できる設計だと説明しています。数分で終わる簡単な作業であれば大きな違いにはなりませんが、数時間以上かかるような開発では重要な仕組みです。長い作業をAIに任せるためには、性能だけでなく「途中まで何をしたのかを保てること」も必要になるためです。

計画や確認を助ける専用機能を用意する

Muse Codeには、開発作業の進め方を助ける複数の標準機能も用意されています。代表的なものが「/plan」「/grill」「/goal」です。

「/plan」は、依頼された作業をどのような順番で進めるのか計画する機能です。作られた計画には人による確認を入れられるため、AIがいきなり変更を進めるのではなく、先に方針を確認する使い方ができます。

「/grill」は、作成した計画に抜けや問題がないかを厳しく確認するための機能です。「/goal」は、指定された目的を達成するために作業を進める機能として用意されています。

AIによる開発では、コードを書けることだけでなく、「何を目指しているのか」「どの順番で進めるのか」を保つことも重要です。Muse Codeは計画、確認、実行を分けて扱えるようにすることで、長い開発作業でも方向を見失いにくくする工夫を取り入れています。

Muse Spark 1.2はどのように開発能力を高めたのか

引用:Meta AI Research「Introducing Muse Code and Muse Spark 1.2」

Muse Codeの能力を理解するうえでは、中心となるAIモデル「Muse Spark 1.2」の特徴も重要です。Metaは前のモデルであるMuse Spark 1.1から、コード作成、不具合の修正、大量のコードの理解、開発作業全体を進める能力などを強化しました。ここでは、そのために行われた工夫を3つの視点から紹介します。

Muse Codeと一緒に使うことを考えて学習する

Muse Spark 1.2では、AIモデルだけを単独で学習させるのではなく、Muse Codeと組み合わせたときに高い性能を発揮しやすくなるよう学習が行われています。

Metaは、目的を保ちながら作業する方法、長くなった情報を整理する方法、複数のAIが分担して動く方法などを学習に取り入れています。Muse Codeで利用する機能も含め、実際にAIが開発作業を進める環境を意識した学習になっています。

これは、単に多くのプログラミング知識を覚えさせればよいという考え方とは少し異なります。実際の開発では、コードを書く以外にも、必要な情報を探したり、途中の結果を確認したり、予定を変更したりする作業があります。Muse Spark 1.2では、こうした一連の流れの中で使いやすくなることも重視されています。

長く続く開発作業を想定して訓練する

Muse Spark 1.2は、短いコードを一度作って終わる作業だけではなく、長時間続く開発にも対応できるよう訓練されています。Metaは、ソフトウェア全体を作る作業、大規模な開発を最初から最後まで進める作業、自動で調査しながら進める作業などを学習に取り入れています。

長い作業では、途中で最初の目的を忘れたり、情報が増えすぎて重要な内容を見失ったりしやすくなります。そのため、作業の順番を決め、最初の目的を保ち、必要な情報を整理しながら進める方法が使われています。

さらにMetaは、前のモデルであるMuse Spark 1.1を使って難しい開発課題や指示の例を作り、その結果をMuse Spark 1.2の学習にも生かしました。AIを使って新しい練習問題を作り、次のモデルをより正確に指示へ対応できるようにする方法です。こうした取り組みにより、複雑な指示でも内容を保ちながら進める能力の向上を目指しています。

最長24時間にわたる改善作業でも検証する

Muse Spark 1.2とMuse Codeを組み合わせた検証では、GPUと呼ばれる計算装置の処理を高速化する実験も行われました。Metaによると、この実験では1,000回を超えるツール操作が行われ、最長24時間にわたって改善作業が続けられています。

AIはコードを書くだけではなく、実行できる形に変え、実際の速さを測り、その結果を見て再びコードを修正する流れを繰り返しました。対象となったのは、NVIDIA Hopper GPU向けのKDAやMLAと呼ばれる処理です。

KDAの検証では、FLAなどの外部のカーネルライブラリをそのまま読み込むことは禁止されました。ここでいうカーネルとは、GPUの中で計算を行うための処理です。既存の仕組みをそのまま使うのではなく、GPU向けのプログラミング環境であるTritonを使い、AI自身が処理方法を考えながら改善する条件が設定されました。

この事例で注目したいのは、特定の高速化結果だけではありません。結果を確認しながら何度も修正を続ける作業を、長時間にわたって行うことを試している点です。

動画からWebページを作るMuse Codeの活用例

Muse Codeの使い方をイメージしやすい例として、Metaは住宅を撮影したmp4形式のフライスルー動画を使ったデモを公開しています。フライスルー動画とは、建物の中や周辺を移動しながら見せるような映像です。

このデモでは、利用者が動画ファイルをターミナルからMuse Codeへ入力します。Muse Codeは映像の内容を読み取り、その住宅を紹介するための見た目の整ったページと、予約につながるページを作成しています。

注目したいのは、最初から細かなコードを書かせる指示を与えているのではなく、動画という素材を出発点として、Webページという成果物までつなげている点です。これまでのAIによるコーディング支援では「この機能のコードを書いてほしい」といった依頼がイメージされやすい一方、Muse Codeのデモでは「この素材をもとに、目的に合うものを作る」という使い方が示されています。

ただし、このデモだけで、あらゆる動画やWeb制作に同じように対応できると判断することはできません。2026年8月5日の発表時点でMuse Codeはベータ版です。一方でMetaは、今後さらに新しい機能や、より高性能なモデルを予定していることも明らかにしています。現段階では、AIに細かなコードだけを頼むのではなく、素材と目的を渡して開発を進めてもらう新しい形を示す事例として見るのが適切です。

今後の展望

Muse Codeは、コードを作るだけでなく、計画から確認までを長く続けられる開発環境を目指しています。この特徴が今後さらに伸びれば、AIへ任せる仕事の範囲や、人とAIの役割分担、ソフトウェアを作り始める方法にも変化が生まれる可能性があります。

時間のかかる作業をAIに任せ、人は重要な判断に集中する

Muse Codeならではの今後の使い方として考えられるのが、数時間から数日かかる開発作業の一部をAIへ任せる形です。Muse Spark 1.2は長く続く開発作業を想定して訓練されており、Muse Codeには途中までの作業を記録し、停止した場合でも再開しやすくする仕組みがあります。GPUの処理を改善する検証では、実際に1,000回を超えるツール操作を行い、最長24時間にわたって試行錯誤が続けられました。

こうした仕組みが安定して使えるようになれば、将来的には大規模なコードの調査、性能の改善、古い仕組みの置き換え、テストの追加など、時間のかかる作業をAIへ任せる使い方が広がる可能性があります。

たとえば開発者が夕方に目的や条件を伝え、AIが時間をかけて調査や試作を進め、翌朝に人が結果を確認するといった使い方も考えられます。これはMetaが具体的な利用方法として発表したものではありませんが、長時間作業を続けられる設計を生かした一つの可能性です。

ただし、AIが長く作業できることと、すべての判断を安心して任せられることは同じではありません。重要なコードを変更する場合には、どの段階で人が確認するのか、どの操作までAIに許可するのかをあらかじめ決める必要があります。

動画や画像などを出発点にした開発が広がる

Muse Codeの公式デモでは、住宅を撮影した動画を読み取り、物件紹介や予約につながるWebページを作成しています。ここから考えられる今後の変化は、ソフトウェア開発を始めるときに、必ずしも細かな文章やコードだけを用意する必要がなくなる可能性です。

たとえば将来的には、商品写真や説明資料、画面のイメージ、動画などを材料として渡し、AIが最初の試作品を作る使い方へ広がることが考えられます。小売企業であれば商品素材からキャンペーンページのたたき台を作り、不動産会社であれば物件素材から紹介ページの案を作るといった形です。

これらはMetaがMuse Codeの対応業務として発表しているものではなく、住宅動画からWebページを作る公式デモをもとに考えられる応用例です。実際に企業で使う場合には、内容が正しいか、企業の決まりに合っているか、見た目や操作性に問題がないかを人が確認する必要があります。

一方で、完成したものを一度作ってから意見を出すのではなく、AIが早い段階で動く試作品を用意できれば、企画担当者と開発者の間で完成イメージを共有しやすくなる可能性があります。「言葉では説明しにくいが、こういうものを作りたい」という要望を形にしやすくなるためです。

AIの評価は「コードを書けるか」から「仕事を最後まで進められるか」へ

Muse Codeの登場から考えられるもう一つの変化は、開発向けAIを評価する基準です。これまでは「プログラミングの問題に正しく答えられるか」「正しいコードを作れるか」といった点に注目が集まりやすくありました。

一方、Muse CodeとMuse Spark 1.2では、大量のコードを理解すること、作業の計画を立てること、長時間目的を保つこと、途中の結果を確認しながら改善することなども重視されています。Metaの公式評価資料でも、Muse Spark 1.2はMuse Codeと組み合わせた状態で、ターミナル上の作業や実際のソフトウェア開発に近い課題を使って評価されています。

この方向が進めば、企業が開発向けAIを選ぶ際にも、単純なコード生成の速さだけでは判断しにくくなるでしょう。与えた仕事をどこまで最後まで進められたのか、途中で人が何回助ける必要があったのか、問題が起きた後に正しく作業を続けられたのかといった点も重要になると考えられます。

さらに、AIが自分で多くの作業を進めるようになれば、安全に使うための決まりも必要になります。重要な変更では必ず人が確認する、触れてよい場所を決める、行った作業を後から確認できるようにするといった運用が求められるでしょう。

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