2026年8月3日、シンガポールでSB Telecom Singapore、SC ZEUS Data Centers、Robust HPC Groupの3社がAIデータセンター展開に向けた提携を発表した。GPU基盤やICT環境を組み合わせ、東南アジアのAI計算需要に対応する。
3社がAIデータセンター開発で正式提携
SB Telecom Singapore、SC ZEUS Data Centers、Robust HPC Groupは、2026年8月1日付でAIデータセンター(AIDC)展開に関する覚書(MOU)を締結した。3社は東南アジア地域において、高密度な人工知能処理に対応するデータセンターの開発・運用を共同で推進する。
今回の提携では、各社が異なる専門領域を担当する体制を構築する。SC ZEUS Data Centersは、データセンター建設に必要な土地の確保から設計、開発、運営までを担う。Robust HPC Groupは、高性能GPUクラスター(※1)の調達、設置、管理を担当し、大規模AI処理に必要な計算能力を提供する。
SB Telecom Singaporeは、ソフトバンク傘下企業として、データホールの設備構築やICTインフラ統合、地域展開に必要な接続環境の整備を進める役割を担う。3社は、それぞれの技術や設備を組み合わせ、AI処理基盤を一体的に提供する「AI Factory」環境の構築を目指す。
初期展開地域は、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナムを中心とする。今後は東南アジア全域や周辺市場への拡大も計画しており、地域企業やAIサービス事業者向けに大規模な計算資源を提供する基盤づくりを進める。
また、GPU-as-a-Service(※2)やAI Token Factoryといった商用モデルの開発も検討する。企業が自社で高額なAI設備を保有せず、必要な計算能力を利用できる仕組みの提供につなげる考えである。
※1 高性能GPUクラスター:複数のGPUを連携させ、大規模なAI学習や推論処理を高速化する計算基盤。
※2 GPU-as-a-Service:企業がGPU設備を保有せず、クラウド経由で高性能GPU計算資源を利用できるサービス。
AIインフラ強化が地域成長を後押し
今回の提携は、東南アジアにおけるAI産業の発展を支える基盤の一つになる可能性がある。生成AIやAIエージェントの普及を背景に、高性能な計算環境への需要は拡大しているとみられ、地域内で安定したAIインフラを確保することは、企業のAI活用を後押しする要素になると考えられる。
特に、液冷技術(※3)、800VDCアーキテクチャ、低遅延ネットワークなどの先進技術を導入することで、次世代AIモデルの学習や推論処理に対応できる環境の整備が期待される。大規模GPU設備を活用できる基盤が整えば、現地企業によるAI導入や新たなサービス開発を促進する可能性もある。
一方で、AIデータセンターの拡大には一般的に課題も伴う。高性能GPUを大量に稼働させる施設では大きな電力消費が発生するため、設備投資や運用コストの管理が重要になる。また、各国で電力供給や通信インフラの整備状況が異なることも、広域展開を進める上で考慮すべき要素となる。
今後、企業によるAI活用がさらに広がれば、高度な計算資源を支えるインフラの重要性は一段と高まる可能性がある。今回の3社連携が計画通り進展すれば、東南アジアにおけるAI開発・運用環境の強化につながり、同地域がAIインフラ拠点として成長する契機となることも考えられる。
※3 液冷技術:サーバー内部の発熱部品を液体で冷却する方式。高密度なAIデータセンターで活用が進む技術。
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