Snapは、動画投稿機能「Spotlight」で完全にAI生成された動画をおすすめ対象から除外すると発表した。低品質で反復的なAI動画の増加を背景に、人間が制作した独自性の高いコンテンツを優先する方針へ転換する。
完全AI生成動画を推薦対象から除外
2026年7月31日、Snapは、Spotlightの推薦システムを更新し、全編がAIによって生成された動画をおすすめ欄へ表示しない運用を発表した。投稿自体の禁止ではなく、発見性を高める推薦枠から外す措置であり、利用者が自然に目にするコンテンツの構成を変えるものとなる。
背景には、インターネット上で低品質かつ類似性の高いAI生成動画が急増している状況がある。Snapは、個人の視点や体験、物語性を含む「本物の創造性」に持続的な価値があると説明し、Spotlightを実在する人々の表現が見つかりやすい場として維持する考えを示した。
同社によると、Spotlightへ投稿したユニークユーザー数は前年と比べて世界全体で120%以上増加した。経験豊富なクリエイターだけでなく、一般のSnapchat利用者による参加も拡大しており、Snapは「本物のクリエイティビティが最も発見されやすい場所として、Spotlightを維持する」という方針を示している。
ただし、AIの利用そのものを否定する方針ではない。Snapchat内のAI制作ツールで編集、加工された動画は引き続き推薦対象となり、AI利用を示す透明性表示も付与される。判定技術に限界があることを認めつつ、完全生成と補助利用を区別する姿勢を明確にした形だ。
独自性を守る一方、判定精度が課題に
今回の変更は、人間の創作者にとって追い風となる。制作コストの低いAI動画が大量投稿されても推薦枠を占有しにくくなり、撮影や編集、個人的な経験に基づく作品が発見される機会を確保できるためだ。結果として、Spotlight独自の文化や投稿意欲を維持しやすくなると考えられる。
広告やブランド運用の面でも、実在する人物の体験や語りを重視する環境は、信頼性の向上につながる可能性がある。AI生成物が急増するなかで、人間による制作を明確な価値として打ち出すことは、TikTokやInstagramなど競合サービスとの差別化にもなりうる。
一方、最大の課題はAI生成動画をどこまで正確に判定できるかである。Snap自身も検出システムは完全ではないと認めており、人間が作った動画の誤判定や、AI生成物の見逃しが発生すれば、クリエイターの不満や運用の不透明感を招く恐れがある。
さらに、AIを部分的に使った編集と完全生成の境界は今後ますます曖昧になる。Snapには判定基準の継続的な更新と異議申し立て手段の整備が求められるだろう。今回の方針が成功すれば、SNS各社がAI時代のレコメンド設計を見直す契機になる可能性がある。
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