イスラエルのAI企業Decartは、リアルタイム動画編集AI「Lucy 2.5」を発表した。ライブ配信中の映像を30FPS・1080pで処理しながら、人物や衣装、背景などをリアルタイムで編集できる新モデルとなる。
Lucy 2.5がリアルタイム編集を刷新
Decartが2026年7月16日に発表したLucy 2.5は、ライブ配信中の映像を30FPS・1080pでリアルタイムに編集できるAIシステムである。
すべてのフレームがリアルタイムで変換され、動きや照明、シーンの変化に絶えず反応するため、事前に加工された映像に依存せずに編集を行える。
ライブ配信中でも人物の入れ替えや衣装変更、環境全体の変換、オブジェクトの削除、物理法則を考慮したVFX(※1)の追加などを実行可能だ。
流れる水、炎、移動する砂、粘性のあるスライムといった不安定で複雑な要素も取り入れることができる。
また、より自然かつ正確でパワフルな編集を提供するため、画像編集結果を動画へ反映するための専用モデルや、粗い指示から詳細な条件まで段階的に制御するプロンプト設計が採用されている。
さらに、編集内容の維持のための「Self-Anchoring(※2)」機能も導入された。
AI自身が生成した映像を基準として利用することで、被写体が画面外へ移動して再び映った場合でも、被写体の姿がぼやけたり変形したりすることが抑えられるという。
推論基盤に対しては、低精度量子化や動的スパースアテンション(※3)、カーネル最適化を組み合わせることで、モデル品質を維持しながらパフォーマンスを向上させたとしている。
※1 VFX: 映像にCGや特殊効果を加えるVisual Effectsの略。
※2 Self-Anchoring: AIが自ら生成した映像を基準として利用し、長時間の動画でも編集内容を維持しやすくする技術。
※3 動的スパースアテンション: 必要な計算だけを実行することで演算負荷を削減し、高速化を図るAI技術。
ライブAI普及の期待と課題
Lucy 2.5のようなリアルタイム動画編集AIが普及すれば、ライブ配信や映像制作のワークフローは大きく変化する可能性がありそうだ。
ライブコマースで商品の色やデザインを視聴者ごとに切り替えたり、広告で地域や言語に応じた映像へ即座に変更したりなど、新たなマーケティング手法が広がることも期待される。
また、高度な映像演出を専門的な編集作業なしで実現できる可能性があるため、配信者やクリエイターの制作コストや準備時間の削減につながる余地もある。
ゲームやエンターテインメント分野でも、視聴者参加型の演出などがさらに発展するかもしれない。
一方で、人物や背景をリアルタイムで自然に改変できる技術は、映像の真正性に関する新たな課題も生みそうだ。
悪意あるなりすましや誤認を招くコンテンツへのリスクが高まる可能性もあるため、透かし技術や利用ルールの整備、生成映像であることを示す仕組みなど、安全性を確保するための取り組みが重要になるだろう。
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