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オムロンがNVIDIAとAI検査を高度化 半導体基板の異常原因を可視化し熟練者不足に対応

PlusWeb3 編集部
PlusWeb3 編集部 Web3・AI専門メディア

オムロン株式会社は、NVIDIAとの協業を拡張し、デジタルツインとAIを活用した半導体基板の検査技術を発表した。
部品の反りや内部異常を可視化し、経験の浅い担当者でも検査判断を進めやすい環境を構築する。

デジタルツインとAIで基板検査を高度化

オムロンは2026年7月16日、基板の外観を調べるAOIと、X線検査装置のAXIをNVIDIA Omniverse(※)と組み合わせ、半導体パッケージ基板の品質と生産性を高める検査プロセスを実現したと発表した。
NVIDIAとのデジタルツインに関する技術協業は2022年に始まり、検査装置内にある基板を仮想空間へ高速かつ高精度に再現する取り組みを進めてきた。

新技術では、製造時の加熱によって生じる電子部品の微細な反りを、物理シミュレーションによりリアルタイムで可視化する。
製造現場は加熱や冷却に伴う温度変化を事前に調整し、はんだ接合不良につながる変形を発生前に予測、防止できるようになる。

さらに、デジタル空間を活用しAOIが取得した表面の3Dデータと、AXIが取得した内部構造のデータを組み合わせる取り組みも示された。
表面部品のずれと内部の微細な気泡などを関連付け、外観だけでは判断しにくかった異常の因果関係を特定する仕組みだ。

検査業務の簡易化に向けては、NVIDIAのVSS技術も活用する。
視覚言語モデルとGraph RAGを組み合わせ、担当者が自然言語で質問すると、AIエージェントが類似画像や過去の知見を探し、考えられる原因と対応につながる情報を提示する。

※NVIDIA Omniverse:3Dデータや物理シミュレーションを統合し、現実の設備や製品を仮想空間に再現するための開発基盤。製造工程の検証やデジタルツインの構築などに活用される。

検査装置が判断を支える現場へ

今回の技術は、検査装置の役割を単なる良品と不良品の判定から、異常の原因分析や改善策の提示へ広げる取り組みと考えられる。
表面と内部の検査情報を統合できれば、担当者が複数のデータを個別に確認する負担が減り、原因究明までの時間短縮が期待できる。

特に、熟練技術者の知見をAIエージェント経由で参照できる点は、人材不足に直面する製造現場にとって大きな利点になる。
経験の浅い担当者でも自然言語で質問し、過去の事例に基づく説明を受けられれば、検査品質のばらつきを抑えながら技能習得を進めやすくなる可能性がある。

一方、AIが示す回答や原因候補が常に正しいとは限らない。学習に用いる検査データの量や品質が不十分であれば、類似事例の選定や判断根拠に偏りが生じることも想定される。
最終判断をどこまで人が担うのかを明確にし、回答の根拠を確認できる運用設計が重要になるだろう。

今後、検査データとフィジカルAIの連携が進めば、不良の発見だけでなく、製造条件の調整や歩留まり改善まで一体化する可能性がある。
導入効果を左右するのは、精度だけでなく、既存ラインへの接続性や現場担当者が無理なく使える操作性になると言える。

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