INSPAY株式会社は「WebX 2026」でSuiブロックチェーンを活用したステーブルコイン決済の実証結果を発表した。日本国内で実店舗を想定した一般来場者向けデモとしては初の取り組みである。自動販売機やクレーンゲームを使い、2日間で470件の決済を記録した。
Sui活用の店舗決済を公開 470件の実証を達成
INSPAYは7月13日から14日に東京で開催された「WebX 2026」に出展し、Suiブロックチェーン上のステーブルコイン(※)を活用した実店舗向け決済デモを実施した。
米Mysten Labsとの戦略的協業の一環として行われたもので、日本国内では一般来場者を対象に実店舗環境を再現した同種のデモとして初の取り組みとしている。
会場では自動販売機とクレーンゲームを用い、Sui対応ウォレット「Slush」でQRコードを読み取ってUSDCまたはUSDsuiで支払うと、決済結果がINSPAYのシステムを介して各機器へ送信され、商品や景品が提供される一連の流れを公開した。
ウォレット上での取引確認は多くが約0.6〜1秒で完了し、利用者はガス代を意識することなく決済を体験できたという。
2日間で行われた決済件数は合計470件で、内訳はUSDCが205件、USDsuiが265件だった。来場者や業界関係者からは「普段のQRコード決済とほとんど同じ感覚で使えた」「ドリンクが出てきた瞬間に、仕組みの意味が分かった」といった声が寄せられた。
INSPAYは今回の展示で得られた知見をもとに、自動販売機や飲食店、アミューズメント施設、無人店舗などでPoCを進めるパートナー企業との連携を拡大する方針である。
また、日本で培った決済インフラ技術を活用し、アジア各国のイベントや商業施設での実証も計画している。
※ステーブルコイン:法定通貨などの価格に連動するよう設計されたデジタル資産。価格変動を抑えながら、ブロックチェーン上で送金や決済に利用できる。
実店舗普及への期待高まる一方、導入拡大には課題も
今回の実証は、ステーブルコイン決済が暗号資産取引や送金だけでなく、日常の店舗決済へ応用できる可能性を示した点に意義があると言える。
利用者がガス代を意識せず、既存のQRコード決済に近い操作性を実現できれば、キャッシュレス決済の新たな選択肢として受け入れられる可能性が高まりそうだ。
また、加盟店にとっても資金管理の効率化や決済コストの低減につながる余地がある。
一方で、普及には課題も残るだろう。
対応ウォレットの利用者拡大に加え、店舗側のシステム改修や決済端末との連携、障害発生時の運用体制など、実用化に向けて整備すべき要素は少なくないと考えられる。
さらに、ステーブルコインを巡る制度や業界標準の成熟も普及を左右する要因となり得る。
とはいえ今後、国内外でPoCが積み重なり、多様な業種で安定した運用実績が示されれば、実店舗向けステーブルコイン決済は実証段階から商用利用へ移行する可能性は十分にある。
今回の展示は、その実現性を示す先行事例として、国内Web3決済市場の発展を占う取り組みの一つと言える。
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