欧州委員会は米グーグルに対し、Androidで他社AIを自社AIと同等に接続させ、検索データを競合サービスへ共有するよう命じた。デジタル市場法に基づく法的拘束力のある措置で、検索共有は2027年1月、Android対応は同年7月から始まる。
他社AIに音声起動とアプリ操作を開放
2026年7月16日に発表された今回の決定は、グーグルが「ゲートキーパー」として提供するAndroidと検索サービスに対し、競争条件の具体的な是正方法を示したものだ。
現在、他社のAIアシスタントは端末機能への接続が制限され、GeminiのようなGoogle製AIと同じ条件では動作できない。
新措置では、利用者が「Hey Google」に近い音声操作で好みのAIを呼び出し、配車予約やチャット返信の提案、直近に訪れた場所の確認などを任せられるようになる。欧州委員会は、EUのAndroid利用者が全体の約60%に上るとしており、端末レベルの開放がAIサービスの選択肢を広げるとみる。
検索分野では、第三者の検索エンジンに加え、検索機能を持つAIチャットボットもデータ共有の対象となる。グーグルが自社検索の改善に用いるデータと同等の情報を、匿名化したうえで提供する方針だ。価格算定の公平性や申請手続きの透明性も定められ、従来は実効性が乏しいとされた共有制度を立て直す狙いがある。
AI競争を促進する一方、実装負担も増大
Google以外への恩恵としては、AI企業や検索事業者がAndroidの機能と大規模検索データへ接続しやすくなる点が挙げられるだろう。端末操作に深く入り込めれば、独立系AIは単なる会話ツールから、予約や情報整理を実行するエージェントへ進化しやすい。プライバシー重視型の検索サービスにも、精度向上の余地が生まれると考えられる。
一方、開放が直ちに競争力の均衡を意味するわけではない。匿名化を強めればデータの有用性が下がる可能性があり、緩めれば個人情報保護やサイバーセキュリティ上の懸念が増す。Googleには接続仕様の整備、第三者の審査、端末の安全性維持という新たな実装負担が発生する。
また、利用者が複数のAIへ端末権限を与えることで、責任の所在が分かりにくくなるリスクもある。欧州委員会は第三者評価や市場変化を踏まえて匿名化措置を修正できるとしており、制度は今後も更新される見通しだ。
今回の命令は罰金を科す違反認定ではなく、DMA上の義務をどう履行するかを示す仕様決定である。それでも、OSと検索データを競争政策の対象として具体的に開放させた意味は大きい。欧州で定着すれば、地域の規制や事業戦略にも影響する可能性がある。
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