三菱重工業は、10MW級ターボ冷凍機とモジュール型冷却システムの米国展開を進める方針を明らかにした。
NVIDIAとの連携も強化し、急拡大するAIデータセンターの電力・冷却需要に対応する。
10MW級冷凍機とモジュラーチラープラントを米国展開
2026年7月16日、三菱重工業は、米国のAIデータセンター市場に向けた冷却事業の強化を発表した。
AI対応データセンターで電力・冷却需要が急増するなか、同社はこうした変化に対応するため、米国市場向けに10MW級ターボ冷凍機の試験機を出荷した。
試験機は同年7月頃にジョージア州ブランズウィック港へ到着する予定である。
同社が開発する「モジュラーチラープラント(MCP)」は、ターボ冷凍機、ポンプ、熱交換器、制御装置をあらかじめ統合した冷却システムだ。
現地での設置を容易にするとともに、AI処理負荷の増加に合わせて設備を段階的に拡張できる。
フリークーリングの活用によってPUE(※1)の改善を図るほか、クローズドループ構成により水使用量を抑え、水不足やWUE(※2)の課題にも対応する。
現在はUL認証を含む米国向け各種認証の取得を進めており、今回の試験機出荷はMCPの認証取得と商用展開に向けた重要な節目となる。
さらに、NVIDIA Partner Networkの「Power & Cooling」カテゴリに参画し、AIファクトリー向けプラットフォーム「NVIDIA DSX」を支える電力・冷却技術の開発を推進する方針だ。
※1 PUE:データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った指標で、1に近いほどエネルギー効率が高い。
※2 WUE:データセンターの水使用量をIT機器の消費電力量で割った指標で、値が小さいほど水利用効率が高い 。
迅速な拡張に期待、認証と実績が焦点
MCPが商用化されれば、設備を現地で一から組み上げる方式と比べて、建設期間の短縮や品質の均一化が期待できる。
需要に応じて冷却能力を追加できるため、データセンター事業者は投資時期を分散しながら、AI計算基盤を段階的に拡張しやすくなるだろう。
電源と冷却をNVIDIAの基盤と一体で設計できれば、高密度なGPU環境への対応力も高まると考えられる。
一方、10MW級の大型設備には、認証取得だけでなく、実際の運用環境における省エネ性能や安定稼働、保守体制の実証が求められるだろう。
モジュール化によって設置負担を軽減できても、配管や電源設備、設置スペースとの調整が不要になるわけではないとみられる。
初期費用や部材供給、地域ごとに異なる水資源・電力事情も普及を左右する要因となるだろう。
今後は、米国での認証取得や実機評価を通じて、MCPが大規模AIデータセンターでどの程度の効率と拡張性を示せるかが焦点になりそうだ。
実績を積み上げられれば、三菱重工は電力設備から冷却までを一体で提供できる企業として存在感を高め、世界的なAIインフラ投資の拡大を取り込む可能性がある。
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