大分県土木建築部河川課は、同県が管理する安岐ダムで「AI流入量予測システム」を運用開始すると発表した。国内の防災インフラにAIを組み込み、大雨時の緊急放流や事前通知の判断精度を高める取り組みである。
AIで72時間先の流入量を予測
安岐ダムは大分県国東市に位置する県管理ダムである。2026年6月29日に導入が発表されたシステムは、近年の洪水実績をAIに学習させ、ダムへ流れ込む水量を予測する仕組みだ。運用開始日は2026年7月1日とされている。
システムは、民間気象事業者が提供する雨量予測をもとに、72時間先までのダム流入量を算出する。予測は10分ごとに自動更新され、最新の降雨見通しを反映しながら、流入量の変化を継続的に把握できる。
予測された流入量から今後の貯水位も算出できるため、管理者は水位上昇の見通しを踏まえて、放流判断や関係機関への情報共有を検討しやすくなる。
防災判断の高度化に期待と課題
今回の取り組みは、自治体のダム管理におけるAI活用の実例として注目できる。特に、10分ごとに予測を更新する点は、急変する降雨状況への対応力を高める要素になる。
職員の経験や既存の観測データに加え、AIによる先読みを組み合わせることで、判断材料はより多層的になることが期待されるだろう。
メリットは、緊急放流の可能性を早期に把握し、下流域への通知や関係機関との調整に使える時間を確保しやすくなる点だ。
大雨災害では、数時間の差が避難判断や情報伝達の質を左右する。72時間先までの予測が安定して機能すれば、地域防災の実務に大きな意味を持つ。
一方で、AI予測は万能ではない。雨量予測そのものの誤差や、過去の洪水実績にない極端な気象条件では、予測精度が揺らぐ可能性がある。
システムの運用後は実績との照合を重ね、職員の判断を補助する道具として慎重に使うことが重要になる。
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