ソラコムは、国内向けにSORACOM Airの新機能「SORACOM Air RTC Gateway」を発表した。
IoT機器のVoLTE通話をSORACOM側で受け取り、指定のVoIP、PBX、コールセンター、音声AIへ接続するサービスである。
VoLTE通話を指定先へ接続
ソラコムは2026年7月2日、SORACOM Airの新機能として「SORACOM Air RTC Gateway」を発表した。
提供開始日は2026年7月7日で、SORACOM IoT SIMを利用するVoLTE(※)対応デバイスの音声接続をSORACOM側で受け取り、顧客が指定したVoIPプロバイダ、PBX、コールセンターなどへ伝送する。
同サービスは、セルラー通信モジュールが標準搭載するVoLTE機能とSIM認証を活用する。
デバイス側に追加のソフトウェアスタックを組み込む必要がなく、IMS/VoLTE標準に基づく手順でSIM認証を行い、認証された端末のみ音声の発着信やメッセージングを可能にする。
設定はSIMのグループごとに接続先を指定し、SIM IDごとにVoIP認証情報を割り当てる形で管理する。
VoLTEの認証完了後、指定されたVoIPサービスやPBXへの登録代行を行い、端末からの音声発信リクエストをSORACOM Air RTC Gatewayが終端し、宛先のVoIPへ転送する。
背景には、駐車場の精算機、入退場ゲート、エレベーターの緊急通話ボタン、医療・介護現場の呼び出し、車両からのサポートサービスなど、現場のIoTデバイスから音声で直接やり取りしたい需要の高まりがある。
生成AIの進化により、音声による一次受付や異常時の初期対応をAIで行いたい要望も増えている。
※VoLTE:LTE回線を使って音声通話を行う技術。IoT機器では通信モジュールに標準搭載される場合があり、追加アプリなしで音声通話機能を利用できる。
現場対応の省力化に期待
この仕組みの利点は、IoT機器の音声対応を比較的低い開発負荷で実現できる点にある。
従来、柔軟な通話制御を行うにはVoIPやPBXの活用が有効だったが、その場合は端末側のファームウェアやアプリ開発が導入の障壁になりやすかった。
標準のVoLTE機能を使えることは、既存機器への展開を考える企業にとって大きなメリットになるだろう。
特に、利用者が画面操作や文字入力を行いにくい現場では、音声接続の価値が高い。
異常時や緊急時に、機器からオペレーター、担当者、AIへ直接つながる導線を作れれば、問い合わせ対応や初期確認の効率化につながる可能性がある。
人手不足が課題となる現場では、音声AIによる一次受付も有力な選択肢となりそうだ。
一方で、導入後の運用設計には注意が必要だ。音声データの録音や管理、AI応答の精度、緊急時に人へ引き継ぐ条件、誤認識が起きた際の対応手順を明確にしなければ、現場の安心感を損なう可能性がある。
音声AIを使う場合でも、すべてを自動化するのではなく、人が介入する余地を残す設計が重要になるだろう。
今後は、IoT機器が単にデータを送るだけでなく、人やAIと会話する接点として使われる場面が増えると考えられる。
ソラコムの新機能は、現場機器、通信、コールセンター、AIをつなぐ基盤として、IoT活用の幅を広げるかもしれない。
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