2026年6月22日、ダイハツ工業は、滋賀(竜王)工場にAIを活用した自動車部品の品質検査システムを導入したと発表した。トランスミッション部品の微細なキズを自動判定するもので、これまで作業者の経験や感覚に依存していた検査工程の自動化を進める。製造現場主導のDXとして、品質向上と作業負荷軽減の両立を目指す取り組みである。
AIで微細なキズ検査を自動化
ダイハツが導入した新たな品質検査システムは、滋賀(竜王)工場第1地区のアルミ加工ラインで生産されるトランスミッション部品を対象としている。AIと画像認識技術を活用し、加工穴内部に発生するキズや不具合を自動で検査する仕組みだ。
これまで同工程では人による目視検査が行われていた。品質に影響する差異は約0.1mmと非常に小さく、判定には熟練作業者の経験や感覚が求められていた。一方で、キズの種類や発生箇所にはばらつきがあり、安定した判定精度を維持することが課題となっていた。
今回のシステムは、製造業向けAIソリューションを提供するVRAIN Solutionと共同開発したものである。現場で蓄積された知見とAI技術を組み合わせることで、人の目と感性に頼っていた工程の自動化を実現した。両社は関連技術について共同で特許出願も行っている。
システムはすでに工場内で稼働しており、今後は同様の構造を持つアルミニウム製品や他部品の検査工程への展開も予定されている。ダイハツはDX人材育成にも注力しており、今回の取り組みを工場全体のデジタル活用拡大につなげる考えだ。
技能継承と省人化を進める可能性と課題
今回の取り組みは、製造業が抱える人材不足や技能継承の課題に対する有効な解決策の一つとなる可能性がある。これまで熟練作業者の経験に依存していた判断基準をデータ化できれば、品質のばらつき抑制や教育期間の短縮につながることも期待される。
また、目視検査は身体的負担が大きく、長時間の集中力維持が求められる工程でもある。AIが検査業務の一部を担うことで、作業者がより付加価値の高い業務へ時間を振り向けやすくなる可能性がある。こうした取り組みは、製造業で進む省人化や業務効率化の流れとも親和性が高いと考えられる。
一方で、一般的にAIによる判定精度は学習データの質や量の影響を受けるとされる。新たな不良パターンや仕様変更が発生した場合には、人による継続的な検証や運用改善が求められる可能性がある。そのため、検査工程の自動化が進んだとしても、すべての工程が短期間で無人化されるとは限らない。
また、AI活用が拡大する中では、現場で培われた技能やノウハウをどのように維持・継承していくかも重要な論点となるだろう。熟練技能のデジタル化は、日本の製造業における重要なテーマの一つとして注目されており、今後同様の取り組みが他業界にも広がれば、品質管理のあり方に変化をもたらす可能性がある。
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