2026年6月22日、日立ソリューションズは米Cloudflareとディストリビューター契約を締結し、企業向けに「Cloudflare」の提供を開始した。AIエージェントの開発から運用、セキュリティ対策までを包括的に支援し、リアルタイム処理とコスト効率を両立するエッジ基盤の提供を本格化する。
CloudflareでAI開発から運用まで支援
日立ソリューションズは6月22日、Cloudflareとのディストリビューター契約締結を発表し、企業向けに「Cloudflare」の提供を開始した。対象サービスは、AIエージェントの開発環境に加え、ゼロトラストセキュリティやネットワーク基盤までを一体的に提供する。
背景には、企業におけるAIエージェント活用の拡大がある。生成AIの活用領域は文書作成や検索支援から、自律的に業務を遂行するAIエージェントへと広がっており、製造業や流通業、社会インフラ分野を中心に実運用への移行が進んでいる。
一方で、従来のクラウド中心型アーキテクチャーでは、大量データの転送に伴うコスト増加や応答遅延、セキュリティリスクへの対応が課題となっていた。
Cloudflareは世界125か国以上、335以上の都市に展開するエッジネットワークを活用し、利用者に近い場所でデータ処理を実行するエッジコンピューティング基盤を提供する。AI開発・実行環境に加え、WAFやDDoS対策、ボット対策、プロンプトインジェクション対策なども備えており、企業はAI活用とセキュリティ対策を同時に進められる。
また、AIエージェントの稼働時間に応じた課金体系を採用しているほか、インフラ設計や管理負担を軽減できる点も特徴としている。
AI基盤競争は性能から運用最適化へ
今回の発表は、企業のAI導入競争が「どのAIモデルを使うか」だけでなく、「AIを安全かつ効率的に運用できるか」という観点にも広がりつつあることを示唆している。
エッジ環境でAIを稼働させるメリットは大きいと考えられる。データ転送量を抑えられるためコスト削減につながりやすく、処理を利用者に近い場所で行うことで応答速度の向上も期待できる。リアルタイム性が求められる製造現場や物流、インフラ管理では特に有効とみられる。
一方で、AIエージェントの普及に伴い、新たなリスクも拡大する可能性がある。プロンプトインジェクションや機密情報漏えい、シャドーAI(※)への対応は今後も重要な経営課題となるだろう。技術基盤だけでなく、利用ルールや監査体制を含めたガバナンス整備も重要になると考えられる。
今後は、AI開発環境、セキュリティ、データガバナンスを統合的に提供できる事業者の存在感が高まる可能性がある。AIエージェントの本格運用が進むなか、企業の競争力はAIそのものではなく、それを安定的かつ安全に活用できる基盤の質によって左右される局面へ入りつつあるとも考えられる。
※シャドーAI:企業が承認していない生成AIやAIツールを従業員が独自に利用すること。情報漏えいやガバナンス上のリスクが指摘されている。
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