2026年6月16日、株式会社カオナビは、タレントマネジメントシステム「カオナビ」において、AIが募集ポジションの職務要件を自動生成する「AI職務要件アシスト」の提供開始を発表した。現場担当者による人材要件の言語化を支援し、社内公募の活性化や適材適所の人材配置の実現を目指す。
AIが職務要件作成を自動化
カオナビが新たに提供を開始した「AI職務要件アシスト」は、人材配置機能「ポジションマッチング」に追加された生成AI機能である。募集ポジションの概要作成時に、現場ニーズに応じた職務要件をAIが自動生成する。
利用者はまず募集目的を選択し、次に理想的な人物像に近いロールモデル社員を指定する。最後に出力内容の粒度を選択するだけで、AIが職務要件を生成する仕組みだ。生成された内容は担当者が確認・修正できるため、短時間で要件作成を完了できる。
特徴は、スキルや資格を起点に条件を設定する従来型の手法ではなく、「チームの対応力を高めたい」「組織運営を維持したい」といった現場の目的から要件設計を始める点にある。これにより、募集意図と求める人物像のずれを抑えやすくなる。
また、ロールモデル社員のスキルや評価、経験などの人材データをAIが分析し、現場が持つ感覚的な人物像を客観的な要件へ変換する。人事部門の専門知識がなくても職務要件を作成できるため、現場主導での人材配置や社内公募を進めやすくなると期待される。
背景には、人口減少や人材不足の深刻化がある。企業では既存人材の能力を最大限活用する人的資本経営への関心が高まる一方、求める人材像を適切に言語化できず、人材流動化が進まないケースも少なくない。今回の機能は、その課題解決を支援する取り組みとして位置付けられる。
AI人事が広がる中で問われる判断力
今回の機能は、人材配置に関わる業務の効率化だけでなく、組織全体の人材活用の高度化につながる可能性がある。属人的になりがちな職務要件の作成を標準化できれば、公募制度の透明性向上や適材適所の実現にも寄与するだろう。また、熟練社員の知見を要件へ反映しやすくなることで、技術継承や後継者育成にも活用の幅が広がると考えられる。
一方で、AIが過去の人材データを基に要件を作成する場合、既存組織の評価基準や価値観を踏襲しやすいという側面もある。結果として、新たな能力や多様な人材を見落とす可能性も指摘される。そのため、AIが生成した内容をそのまま活用するのではなく、人間による確認や判断を組み合わせる運用が重要になるとみられる。
今後は採用や育成だけでなく、人材配置や組織設計の領域にも生成AI活用が広がる可能性がある。人事業務の効率化ツールとしての役割に加え、企業が保有する人材データを活用した戦略的な意思決定を支援する基盤として、AIの存在感はさらに高まっていくかもしれない。
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