メタプラネットはSiiibo証券の全株式取得に向けた株式譲渡契約を締結した。
取得額は21億円で、クロージング後は「株式会社メタプラネット証券」へ商号変更を予定している。
ビットコインを中核とする中長期戦略「Project Nova」の実現に向けた初の本格的なM&A案件となる。
Siiibo証券を21億円で取得へ
メタプラネットは、2026年6月12日に開催した執行役会で、Siiibo証券の発行済株式の全てを取得し、同社を完全子会社化することを決議した。
同日付で一部株主との間で株式譲渡契約を締結しており、クロージング予定日は2026年7月13日、完全子会社化手続の完了は同年8月下旬を予定している。
取得価額は21億円で、対価は金銭で支払う。
取得資金は手許現金と借入金を基本とし、必要に応じて、同社が保有するビットコインを担保とする上限5億米ドルの借入枠を補完的に活用する想定だ。
取得後、所定の手続きを経てSiiibo証券の商号を株式会社メタプラネット証券へ変更し、メタプラネットから取締役2名を派遣する予定である。
背景にあるのは、同社が進める中長期戦略「Project Nova(※)」だ。メタプラネットは2024年以降、ビットコインを長期的な準備資産として蓄積するビットコイン・トレジャリー戦略を推進してきた。
2026年5月末時点では40,177BTC、保有純資産4,576億円を保有し、世界第3位、日本第1位のビットコイン保有企業へ成長したとしている。
Siiibo証券は2019年1月設立の第一種金融商品取引業者で、社債を中心とする証券プラットフォームを運営している。
2025年12月期の営業収益は1億5,641万7,000円、経常損益は1億4,165万9,000円の赤字、純資産は5億8,724万9,000円だった。
メタプラネットは今回の取得により、約25万人の株主基盤を活用したSiiibo証券商品の認知拡大、既存顧客へのBTC関連商品提供、社債やデジタル証券の発行体ソーシング、セキュリティ・トークンなどの組成・販売を進める方針だ。
また、ビットコインを中核に、金融商品の組成から販売までを担う体制の構築を目指すとしている。
なお、今回の株式取得がメタプラネットの2026年12月期連結業績に与える影響は軽微と見込まれている。
同社は、今後開示すべき事項が生じた場合には速やかに公表するとしている。
※Project Nova:メタプラネットが推進する、ビットコインを中核とした金融プラットフォームおよびエコシステム構築を目的とする中長期戦略。資産運用、ベンチャー投資、金融インフラ整備などを含む。
BTC金融化の期待と課題
今回の買収は、メタプラネットのビットコイン戦略を「保有」から「金融サービス」へ広げる転換点になる可能性がある。
これまで同社の注目点はBTC保有量の拡大にあったが、第一種金融商品取引業者をグループに迎えることで、BTC関連商品やデジタル証券を投資家に届ける事業基盤を得ることになる。
メリットは、既存の株主基盤と証券事業を接続できる点にある。
約25万人の株主に対してSiiibo証券の商品認知を広げられれば、顧客獲得やAUM拡大につながる余地がある。
また、暗号資産やDeFi関連ベンチャー企業の資金調達支援、セキュリティ・トークンの販売などに展開できれば、ビットコインを中心とする金融エコシステムの具体化が進むだろう。
一方で、Siiibo証券は直近3年間で赤字が続いており、収益化には時間を要する可能性がある。
金融商品取引業はコンプライアンスやリスク管理が重く、BTC関連商品を扱う場合には価格変動リスクや投資家保護の観点も重要になるだろう。
メタプラネットにとっては、ビットコイン保有企業としての注目度を、安定した金融サービス収益へ転換できるかが焦点となりうる。
短期的な業績寄与は限定的とみられるが、今回の取得はメタプラネットがBTCを保有する企業から、BTCを活用した金融インフラ企業へ踏み出す契機になり得る。
今後は、Siiibo証券の事業基盤を生かしながら、投資家保護、収益化、BTC関連商品の実用性をどこまで両立できるかが問われそうだ。
株式会社メタプラネット Siiibo 証券株式会社の株式の取得(連結子会社化)に係る株式譲渡契約の締結及び株式会社メタプラネット証券への商号変更に関するお知らせ
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