厚生労働省は、委託先の東芝による作業ミスで、職員が業務利用するTeamsチャットなどのデータが消失したと発表した。一部の行政文書を含むチャットデータの復元が困難な状況であるという。
厚労省LAN更改でデータ消失 一部行政文書は復元困難
厚生労働省が2026年6月12日に発表した内容によると、消失したのは省内LANシステムで管理されていたTeamsチャット、共有ファイル、個人ファイルの一部である。
対象は2023年1月4日から2025年10月29日までに作成されたデータで、約2年10カ月分に及ぶ。
同省によれば、2026年4月25日に実施されたLANシステム更改作業の過程で、運用を委託している東芝が誤った設定を行い、対象データが削除されたという。
その後、厚労省は復元作業を指示したものの、行政文書(※)に該当するチャットデータの一部については復元が困難であることが判明した。
一方、Teamsチャットは主に日常的な業務連絡や定型的な情報共有に利用されており、その性質から行政事務への影響は限定的と厚労省は説明している。
また、データは完全に消去されているため、外部への情報漏えいの可能性はないとしている。
厚労省は今回の事案を重く受け止め、東芝に対して原因究明と再発防止策の履行を求める方針を示している。
※行政文書:行政機関の職員が職務上作成・取得し、組織的に利用・保存する公的な記録。一定の条件を満たした電子メールやチャットも対象となる。
DX推進の利便性とリスク 行政システム運用の転換点となるか
今回の事案は、デジタル化が進む行政機関にとって、利便性と安全性をどう両立するかという課題を改めて示すものになったと言える。
チャットツールの活用によって情報共有の迅速化や業務効率化が進む一方、設定ミスや運用上のトラブルが発生した際には、広範囲のデータに影響が及ぶ可能性がある。
一方で、問題を公表し、原因究明と再発防止を進める姿勢を示したことは、行政システムへの信頼性や透明性を維持する上で重要な対応と言える。
今後は、バックアップ体制の多重化や復元手順の定期的な検証、委託事業者を含めた運用管理の厳格化を進められるかが重要になりそうだ。特に電子データが公文書として扱われる場面が増える中、単にシステムを導入するだけでなく、「障害が起きても記録を守る仕組み」への投資が重要性を増していくだろう。
また、この課題は行政機関だけとは限らない。
クラウド型グループウェアや生成AIを活用する民間企業にとっても、データ保全や事業継続計画の整備は経営上の重要課題になり得る。
今回の事案を契機に、日本全体のデジタル基盤の信頼性向上につながるかが今後の焦点となりそうだ。
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