TikTok、欧州データ管理強化でフィンランドに進出 1600億円を投じ新データセンター建設へ

2025年5月7日、中国発の動画投稿アプリTikTokは、欧州におけるデータ管理体制の強化を目的に、フィンランドに新オフィスとデータセンターを設置する計画を発表した。
総額10億ユーロ(約1600億円)を投資し、既存施設との連携で地域全体を網羅する構えだ。
TikTok、フィンランドに初の拠点とデータセンター
TikTokは、欧州ユーザーのデータ保護強化を目的とした戦略「プロジェクト・クローバー」の一環として、フィンランドに新拠点を開設し、初のデータセンター建設を開始すると発表した。
投資額は10億ユーロに上り、欧州連合(EU)の個人情報保護規則(GDPR※)への準拠と、無許可での域外転送防止が狙いである。
完成後は、既に稼働中のノルウェーおよびアイルランドのデータセンターと連携し、欧州域内におけるTikTok独自のローカルデータネットワークを構築する方針だ。
これにより、規制対応のみならず、データ処理の効率化やユーザー体験の最適化も進むと見られている。
※GDPR(一般データ保護規則):EUが2018年に施行した個人情報保護に関する規制。企業による個人データの収集・利用・保管方法を厳格に定めている。
欧州の信頼確保と地域発展の両立へ 再生エネ活用も後押し
TikTokは、今回のフィンランド投資を「欧州地域への長期的なコミットメントの一環」に位置付け、欧州での信頼回復と規制対応を加速させる重要な一歩にしたい狙いがあると考えられる。
特にGDPRのような厳格なデータ保護規制のもとで、域内保存と運用体制の整備は企業にとって不可避の対応だ。
今回の施策は、単なるデータセンターの設置にとどまらず、欧州市場におけるTikTokの長期的な事業継続性を示す象徴的な動きとなる可能性がある。
加えて、地域への雇用創出や環境配慮といった側面も評価されることで、企業イメージの改善にも寄与すると考えられる。
一方で、欧州当局の警戒感は依然根強く、今後も透明性の確保や第三者監査の導入などが求められていくはずだ。
今後は、TikTokがどこまで継続的かつ実効性のある運用を行えるかが、真の信頼獲得につながる鍵となるだろう。