「Cetus」盗難事件でSuiが投票実施 1.62億ドル資金返還に注目集まる

2025年5月23日、Suiチェーン上の分散型取引所(DEX)「Cetus」が、2.2億ドル相当の仮想通貨が盗まれた事件を受け、凍結中の1.62億ドルの資金返還に関してオンチェーン投票の実施を提案した。国際機関とも連携を進めている。
盗難被害受け、Cetusが返還の是非をコミュニティに委ねる
Sui(SUI)上で運営される分散型取引所「Cetus」は、5月22日に発生した大規模な資金盗難事件への対応として、1.62億ドル相当の凍結資金について、ネットワーク参加者の意思を問う形で返還可否を決定する提案を打ち出した。
提案はSuiのバリデータやSUIトークンのステーカーを対象としたオンチェーン投票の形式で実施される見通しで、プロトコルのアップグレードによって凍結資産の取り扱いを可能とする技術的措置も検討されている。
一方的な資産移転を回避する姿勢を強調し、Cetusは「最終的にはコミュニティの決定を尊重する」と表明。スイ財団や関係機関と緊密に連携しながら、今後の投票実施に向け、詳細を詰めるとしている。
正当性担保と技術的課題 Web3ガバナンスの試金石に
今回の提案は、分散型プロトコルにおけるガバナンスの在り方を問う象徴的な事例となる可能性がある。資金返還の是非を技術者や運営側でなく、トークン保有者を含む広範なコミュニティに委ねることで、正当性と透明性を確保する狙いがあるのだろう。
一方で、凍結資金の処理に伴う技術的対応や法的な整合性には課題も残る。
返還対象となる資金の出所や流通履歴によっては、新たな利害対立を招く可能性があるからだ。
また、今後同様の事件が起きた場合に「投票によって資金が動く」という前例がリスクと見なされる懸念もある。
ただし、Suiバリデータや国際捜査当局が協力する形での対応は、Web3領域における新たな「セーフティネット」構築の一歩とも言える。
投票の成否とその後のプロセス次第で、分散型金融(DeFi)の信頼性が大きく左右される局面となるだろう。
※DEX(分散型取引所):中央管理者を介さずに仮想通貨の取引を行える取引所の仕組み。ユーザー間で直接取引が可能で、透明性とセキュリティの高さが特徴。
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