サムスンがCES 2026で発表した「AIと暮らす」未来!家電にもAIを搭載

2026年1月5日、サムスンはCES 2026の自社イベント「The First Look」で、「AIと共に暮らすパートナー」という新しいビジョンを打ち出しました。テレビでは視聴体験を広げる“Vision AI Companion”を軸に、番組に合わせた提案や声での操作を強化し、家ではSmartThingsのつながりを背景に、冷蔵庫のFamily Hubが食材管理や献立選びを支えます。
さらに、将来はスマホやウェアラブルも含めて健康面の“先回り”を目指す考え方も示されたのため、本プロジェクトの詳細を考察します。
AIを「使う道具」から「共に暮らす存在」へと捉え直すサムスンの視点

サムスンがCES 2026で示した「AIと共に暮らすパートナー」という考え方は、単に高性能なAIを搭載した製品を増やすという話ではありません。発表全体から読み取れるのは、AIを生活の中で自然に寄り添う存在として位置づけ直そうとする姿勢です。スマートフォン、テレビ、家電、サービスといった幅広い製品群を持つサムスンだからこそ、AIを点ではなく線でつなぎ、日常体験として成立させようとしています。
このビジョンの中心にあるのは、AIを企業の技術要素ではなく、ユーザー体験を形づくる基盤として扱うという考え方です。研究開発や製品設計、運用、そして使う人の体験までを一貫してAIで結びつけることで、操作を覚えなくても自然に助けてもらえる環境を目指しています。その結果、ユーザーは機能を探す必要がなくなり、必要な場面で必要な提案を受け取れるようになります。
また、サムスンはAIを特別な存在として前面に押し出すのではなく、日常の中に溶け込ませる点を重視しているように見えます。テレビを観る、食事を考える、家事をこなすといった普段の行動を少し楽にし、意味のある時間に変えていくことが狙いです。このような姿勢は、AIを難しい技術としてではなく、生活を支える身近なパートナーとして浸透させるための重要な一歩だと考えられます。
エンタメ体験を広げる「Vision AI Companion」の狙い
サムスンの発表の中でも、特に分かりやすくAIの方向性が示されたのが映像・音響分野です。テレビを中心としたエンターテインメント体験を、視聴の枠を超えて生活全体に広げようとする考え方が見えてきます。本項では、その特徴を3つの視点から整理します。
1. 映像そのものの価値を引き上げるAIの役割
サムスンは長年培ってきた映像技術にAIを組み合わせることで、画質そのものの質を一段引き上げています。130インチの新型ディスプレイでは、色の表現や明るさをAIが細かく制御し、シーンごとに最適な映像を描き出す仕組みが採用されています。制作者の意図に近い映像を家庭でも楽しめる環境が整います。単に「大きくてきれい」なテレビではなく、映像体験の完成度を高める存在としてAIが組み込まれている点が特徴です。
2. 観るだけで終わらない“提案型”のテレビ体験
Vision AI Companionは、番組を映す装置としてのテレビから一歩進み、視聴体験を広げる役割を担います。番組内容に合わせて次に観る候補を示したり、食事や音楽の提案につなげたりすることで、テレビが生活のハブとして機能します。操作も難しい設定を必要とせず、声で自然に指示できるため、AIを意識しなくても使える設計です。これにより、テレビは受動的な存在から、生活を支える相談相手のような立ち位置へと変わっていきます。
3. 複数デバイスをつなぐエコシステムの広がり
提案されたレシピがキッチン家電に送られるなど、テレビ単体では完結しない点も重要です。サムスンは映像機器、音響機器、家電を同じAI基盤でつなぎ、体験を分断させないことを重視しています。これにより、部屋や用途が変わっても同じ感覚でAIを利用できます。エンタメ分野で培った体験設計が、他の生活シーンにも広がっていく土台がここにあると考えられます。
家電が判断し、先回りする「ホームAI」の進化

サムスンは家電分野においても、AIを単なる自動化の仕組みではなく、日々の判断を支える存在として進化させようとしています。冷蔵庫や洗濯機、掃除機といった身近な家電が、暮らしの流れを理解し、負担を減らす方向へ向かっている点が特徴です。本項では、その変化を3つの観点から整理します。
1. 冷蔵庫が家庭の中心になるという考え方
AIを搭載した冷蔵庫「Family Hub」は、食材を冷やすだけの存在ではありません。庫内の食材を把握し、何が残っているか、何を使うべきかを整理することで、献立を考える負担を軽減します。映像や音声による案内も組み合わさり、料理に慣れていない人でも迷わず進められる設計です。冷蔵庫が家庭内の情報拠点として機能することで、日常の判断が自然に支えられる環境が整っていきます。
2. 家事のストレスを減らす“一体型”と自動判断
洗濯や衣類ケアの分野では、作業の手間そのものを減らす工夫が見られます。洗濯から乾燥までを一度で行う仕組みや、衣類の状態に応じてケア方法を選ぶ機能により、家事の流れが簡素化されます。AIが状況を判断することで、設定に悩む時間が減り、忙しい朝や帰宅後でも安心して任せられる点が特徴です。家電が“考える役割”を担うことで、生活全体の余裕が生まれます。
3. 掃除と見守りを両立する新しい役割
ロボット掃除機にもAIの活用が広がっています。床の汚れや液体を見分けて動作を調整するだけでなく、外出中の室内の様子を確認する役割も担います。掃除機は単なる清掃機器から、安心を支える存在へと変わります。声で指示できる操作性も含め、家の中で自然に使えるAIとして設計されている点が、サムスンのホームAIの特徴だと考えられます。
健康や安心まで含めた「ケアAI」への広がり
サムスンのビジョンは、エンタメや家事の効率化にとどまらず、人の健康や安心といった領域にも踏み込んでいます。発表内容からは、問題が起きてから対処するのではなく、日常のデータをもとに先回りして支える姿が見えてきます。スマートフォンやウェアラブル、家電が連携し、生活のリズムや体調の変化を捉えることで、無理のない形で健康管理を続けられる環境を目指しています。
例えば、運動や睡眠の傾向をもとにした助言や、家庭内の食材状況と連動した食事の提案などは、生活全体を見渡した支援の一例です。さらに、異変の兆しがあれば利用者に知らせ、必要に応じて専門家とつなぐ仕組みも想定されています。これは、日々の暮らしの中で気づきにくい変化を補う役割をAIが担うという考え方だと言えます。
同時に、こうした個人情報を扱うからこそ、セキュリティへの配慮も重視されています。サムスンは独自のセキュリティ基盤を進化させ、AI活用が広がっても安心して使える環境を整えようとしています。便利さと安心を両立させる姿勢は、AIが生活に深く入り込む時代に欠かせない要素だと考えられます。
今後の展望
サムスンが掲げた「AIと共に暮らすパートナー」という構想は、製品単体の進化ではなく、生活全体の在り方を見直す提案だと言えます。エンタメ、家事、健康といった日常の行動がAIによってゆるやかにつながることで、これまで分断されていた体験が一つの流れとして整えられていきます。ここからは、今回の発表内容を踏まえて考えられる今後の活用の広がりについて、具体的な視点で整理します。
1. 家庭内データを活かした「個別最適な暮らし」の定着
今後は、家庭内で蓄積されるデータをもとに、一人ひとりに合った生活提案がより自然に行われるようになると考えられます。テレビの視聴傾向、冷蔵庫の食材履歴、家電の利用時間などが連動することで、生活リズムに沿った無理のない提案が可能になります。例えば、忙しい曜日には簡単な食事や短時間の運動を勧め、余裕のある休日には新しいレシピや映画を提案するといった形です。重要なのは、ユーザーが意識して操作しなくても、生活の流れの中で支援が行われる点です。AIが前に出すぎず、裏側で調整役として機能することで、個別最適な暮らしが当たり前のものとして定着していくと考えられます。
2. AIを軸にした「家電とサービス」の新しい価値創出
サムスンの構想が進むことで、家電は単なる製品ではなく、継続的に価値を提供するサービスへと変化していく可能性があります。ソフトウェア更新による機能向上や、利用状況に応じた提案が重ねられることで、購入後も体験が進化し続けます。さらに、保険やエネルギー管理など外部サービスとの連携が広がれば、家電を通じて生活コストの削減や安心感の向上も期待できます。これは、AIとつながりを軸にした新しいビジネスモデルの広がりを示しています。製品を売って終わりではなく、長期的に寄り添う関係を築くことで、ユーザーとの信頼関係もより強固なものになると考えられます。
3. 健康と安心を支える「予防型AI」の社会的広がり
健康分野では、AIによる予防的な支援が今後さらに重要になると見られます。日常生活のデータから小さな変化を捉え、早めに気づきを与える仕組みは、高齢化が進む社会において大きな価値を持ちます。家庭内で無理なく使える仕組みであれば、専門的な知識がなくても健康管理を続けやすくなります。また、医療機関や専門家と連携することで、家庭と医療の間をつなぐ役割も果たします。サムスンが示したケアAIの方向性は、個人の安心にとどまらず、社会全体の負担軽減にもつながる可能性を秘めています。












