2026年5月24日、神奈川県横浜市のプロバスケットボールクラブ「横浜エクセレンス」が開催したファン感謝祭において、ネオジャパンが展開するAIソリューション「LiveX AI」が導入された。AIアバターによる対話型セルフィー体験を通じ、スポーツ業界における次世代ファンエンゲージメントの可能性が注目を集めている。
AIアバターが会場接客と撮影を担う
今回導入された「LiveX AI」は、AIアバターがリアル空間で来場者と自然に対話しながら接客や案内を行う次世代ソリューションである。従来は商業施設などでのコンシェルジュ利用が中心だったが、今回は「ファンエンゲージメント」に特化した実証実験(PoC)(※)として活用された。
会場では、AIアバターが来場者を案内し、その場でセルフィーを撮影。撮影後は生成AI技術によってイラスト風に加工された画像がリアルタイムで提供され、SNS投稿を前提とした体験設計が行われた。従来は選手との距離があったスポーツ観戦の思い出を「共有可能なコンテンツ」へ変換する仕組みと言える。
実施時間は2026年5月24日12時から14時までで、撮影組数は89組、撮影人数は150名に達した。当日は大きなトラブルもなく運営が進行し、ファン感謝祭の新たな演出として一定の成果を示した形だ。
近年、スポーツ業界では試合そのものだけでなく、「現地でしか得られない体験価値」が集客を左右し始めている。特にBリーグでは地域密着型の運営が重視されており、ファンとの継続的な接点づくりが重要課題になっている。今回の取り組みは、AIが“デジタル接客スタッフ”として機能する実例の一つになったと言えるだろう。
※PoC:Proof of Conceptの略。新技術や新サービスが実際に有効かどうかを検証するために行う実証実験。
AI接客がスポーツ興行の競争軸に浮上
今回のAIコンテンツの導入は単なるイベント演出に留まらず、スポーツビジネス全体の変化を示唆していると捉えることができる。従来のファンサービスは選手との交流や限定グッズ販売が中心だったが、今後はAIを活用した“参加型体験”が新たな競争軸になる可能性がある。
特に注目されるのは、スポンサー価値との連動である。AIアバター体験は写真共有やSNS拡散と相性が良く、企業ロゴやブランド演出を自然に組み込める。広告表示だけでは測れなかった「体験型スポンサー施策」として、収益モデルの多様化につながる余地がある。
一方で、AIによる接客体験は新鮮さが強みとなる反面、演出が画一化すればユーザーの飽きにつながる恐れもある。
ネオジャパンは今後、「LiveX AI」の機能拡張に加え、他スポーツイベントやエンターテインメント施設への展開も視野に入れる方針だ。AIが“観戦そのもの”ではなく、“観戦後に共有したくなる体験”を生み出す時代が、本格的に始まりつつある。