2026年5月26日、マイナビは2027年卒業予定の大学生・大学院生を対象としたAI利用実態調査の結果を発表した。就職活動でAIを利用した学生は84.9%に達し、前年から18.3ポイント増加した。6割以上の学生がAIの普及によって就職活動に変化が生じたと回答しており、AIが就活の新たなインフラとなりつつある実態が明らかになった。
就活でAI利用が急拡大 相談相手としても定着
今回の調査では、就職活動でAIを利用した経験がある学生は84.9%に達し、前年から18.3ポイント増加した。もはやAI活用は一部の先進的な学生だけの取り組みではなく、多くの就活生にとって日常的な行動となっていると言える。
利用用途では「ESの推敲」が71.8%で最多となり、「面接対策」が56.2%、「ESの作成」が55.0%で続いた。特に面接対策は前年から19.6ポイント増加しており、AIが文章作成支援だけでなく実践的な選考準備にも活用されていることが分かる。
利用目的として最も多かったのは「作業時間の短縮」の54.3%だった。一方で、「自分だけの考えで決めるのは不安だから」と回答した学生も28.8%に上り、効率化だけでなく心理的な支援を求める側面も見られた。
また、AIに就職活動の相談をした経験がある学生は47.6%となった。相談内容には将来への不安や就活ストレス、企業選択に関する悩みなどが含まれている。ただしAIの回答をどの程度参考にするかについては「判断材料の一つとして考慮する」が68.7%で最多だった。学生の多くはAIを絶対的な答えとして受け入れるのではなく、意思決定支援ツールとして活用している状況と言える。
AI活用が就活の新常識に 利便性向上と判断力低下の課題
今回の調査で注目されるのは、AIの普及が就職活動そのものの在り方を変え始めている点である。6割以上の学生がAIの浸透によって就活に変化が生じたと回答しており、「人に相談する代わりにAIを使う機会が増えた」が25.4%で最多となった。
さらに「AIに代替されにくい業界・職種を中心に応募するようになった」と回答した学生は11.4%に達した。割合としては限定的ながら「志望していた業界や職種の選考を控えた」という回答も見られ、AIがキャリア選択そのものに影響を与え始めている可能性がある。
こうした変化は情報収集や自己分析の効率化という大きなメリットをもたらす。一方で、AIが提示する情報に依存しすぎれば、自ら考え抜く力や判断力が弱まる懸念も否定できない。現時点では参考情報として活用する学生が多数派だが、今後AI利用がさらに拡大した場合にはそうした能力の低下を懸念する声も出てくるだろう。就職活動は正解のない意思決定の連続であり、最終的な選択責任は本人にあるためだ。
今後は企業側もAIを活用することを前提とした採用プロセスの設計を進める可能性がある。応募書類の作成支援や面接練習が一般化する中で、学生の本質的な思考力や価値観をどのように見極めるかが新たな課題となるだろう。AIは就活の強力なパートナーになりつつあるが、その活用方法次第で結果は大きく変わると言えそうだ。