2026年4月7日、神奈川県は県内の横断歩道や県管理道路の区画線について「消えかけ白線ゼロ」を達成したと発表した。県と県警が連携し、AIによる摩耗判定を導入した取り組みで、デジタル技術を活用したインフラ維持の新モデルとして注目される。
AIで白線摩耗を可視化、補修完了へ
神奈川県は、県内約7万2千カ所の横断歩道と総延長約1080キロに及ぶ県管理道路の区画線について、摩耗箇所の補修完了見込みを受け「消えかけ白線ゼロ」を宣言した。
県は2023年度から県警と連携し、車両にスマートフォンを搭載して道路を撮影し、人工知能(AI)によって白線の摩耗度を自動判定する仕組みを導入した。画像データをもとに劣化度を定量化することで、補修の優先順位付けが可能になったとされる。
区画線の調査は2023〜2025年度で一巡し、2026年9月末までに補修が完了する見通しである。一方、横断歩道については2022〜2024年度に調査が行われ、県警が管理する約1万4千カ所のうち、6割以上が摩耗していた箇所の補修を2025年度末までに終えた。
インフラ維持のDX加速も自治体格差は課題
今回の取り組みは、インフラ維持管理におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)(※)の具体例として他自治体への波及も考えられる画期的な施策だ。少子高齢化による人手不足やインフラ老朽化が進む中、AIによる点検の自動化は作業負担の軽減と安全性向上の両立に直結する。
特に道路インフラは日々摩耗が進行するため、定期的かつ網羅的な点検が不可欠である。AIによる画像解析は、従来のサンプリング型点検から常時監視型への転換を促し、事故リスクの低減にも寄与すると考えられる。
また、車道外側線や停止線、センターラインなどを検知して走行する自動運転車の普及を助ける策にもなりうるだろう。
一方で、課題も残る。県管理道路以外の市町村管理道路は総延長約2万4千キロに及び、補修対応は各自治体に委ねられている。財政や人材に余力のない自治体では同様のデジタル投資が難しく、必ずしも全ての自治体が同様の手段でインフラ品質を維持することは難しい。
今後は、県が蓄積したデータや技術を市町村にどこまで展開できるかが鍵となる。
※DX(デジタルトランスフォーメーション):デジタル技術を活用して業務やサービス、組織の在り方を変革し、新たな価値を創出する取り組み。単なるIT導入にとどまらず、業務プロセス全体の再設計を含む概念。