2026年4月7日、米AI企業Anthropicは新モデル「Claude Mythos Preview」を発表した。ベンチマークでGPT-5.4やGemini 3.1 Proを上回る性能を示す一方、一般公開は行わず限定提供とする方針を明らかにしている。AI競争は新たな局面に入った。
Claude Mythosが全指標で首位に
Anthropicが発表した「Claude Mythos Preview」は、同社の従来モデル「Claude Opus 4.6」を大幅に上回る性能を示した。コーディング能力、多言語処理、画像理解などのマルチモーダル性能に加え、極めて難易度の高い推論タスクでもトップスコアを記録している。
特に注目されるのは、PC操作やツール連携といった実用領域での進化だ。単なる応答生成にとどまらず、複雑なタスクを自律的に遂行する能力が強化されており、AIエージェントとしての完成度が一段と高まったと評価できる。
ベンチマーク比較では、OpenAIのGPT-5.4やGoogleのGemini 3.1 Proを複数の指標で上回る結果となった。これにより、AI性能の“頂点”は一時的にAnthropicが握った構図となる可能性がある。
しかし、このモデルは一般公開されない点が大きな特徴だ。この対応についてAnthropicは、ゼロデイ脆弱性(※)の発見能力が飛躍的に高まったことを理由に、悪用リスクを強く懸念していると説明している。
※ゼロデイ脆弱性:ソフトウェア開発者が把握しておらず、修正されていない状態のセキュリティ上の欠陥。発見されると攻撃に悪用されるリスクが高い。
限定公開が生む“AI格差”の現実
Claude Mythos Previewは、一般ユーザー向けには提供されず、サイバーセキュリティ分野を中心とした一部の企業に限定提供される方針である。攻撃に使える能力は防御にも応用できるため、インフラ防御の高度化に寄与する可能性があるとの見方だ。
一方で、この方針は「誰が最先端AIにアクセスできるのか」という新たな論点を浮上させる。従来はChatGPTやGeminiのように、最先端モデルでも一定範囲で一般公開されてきたが、その前提が崩れ始めているとも言える。
企業のみが超高性能AIを活用できる状況が定着すれば、開発力やセキュリティ能力の格差はさらに拡大する可能性がある。特にWeb3やスタートアップ領域では、技術アクセスの差が競争優位を決定づける要因になりかねない点が懸念される。
AIはすでに単なる効率化ツールではなく、国家や企業の競争力を左右する基盤技術へと変質している。Claude Mythosの登場は、その現実を改めて突きつける出来事であり、今後のAIガバナンスのあり方を問う契機になると考えられる。