2026年4月7日、韓国サムスン電子は第1四半期の営業利益が前年同期比で8倍超に達する見通しを発表したとロイターが報じた。生成AIの普及に伴う半導体需要の急拡大が背景にあり、同社の収益構造が大きく変化しつつある。
AI需要で半導体価格高騰、業績急伸
サムスン電子は2026年1〜3月期の営業利益が約57兆2000億ウォンに達し、前年同期比で8倍以上に拡大する見込みを示した。市場予想も大きく上回る水準であり、四半期ベースでも過去最高を更新する可能性が高い。売上高も約68%増の約133兆ウォンと急伸し、成長の勢いが際立つ。
この背景にあるのが、生成AIの普及に伴うデータセンター投資の急増である。AIモデルの訓練や推論には大量の計算資源が必要となり、高性能なメモリー半導体の需要が急拡大した。結果としてDRAM(※)やNANDといった汎用メモリーの供給が逼迫し、2026年第1四半期だけで価格はほぼ倍増した。
※DRAM:コンピューターやサーバーで使われる揮発性メモリー。データ処理速度に直結するため、AIやクラウド分野で需要が急増している。
AIバブル持続か、需給と地政学が鍵
もっとも、この成長が持続するかは不透明である。AIデータセンター需要は依然として強いものの、エネルギー価格の上昇や地政学リスクが投資意欲を冷やす可能性がある。また、中東情勢の緊迫化は電力コストや原材料価格を押し上げ、半導体供給網にも影響を与えかねない。
一方、メモリー価格の上昇サイクルがすでに後半局面に入りつつあるとの見方もある。市場では「価格上昇のピークアウト」を警戒する声が出ており、今後は急激な伸びが鈍化する可能性も否定できない。企業にとっては、短期的な市況頼みから脱却し、長期契約による収益安定化が重要な戦略となる。
さらに注目すべきは、高帯域メモリー(HBM)(※)の競争である。サムスン電子は出遅れを指摘されてきたが、次世代HBMで巻き返しを図っている。
ただし現時点では半導体売上に占めるHBM比率は限定的であり、利益の多くは依然として汎用メモリーに依存している構造だ。
AIブームは半導体企業にかつてない収益機会をもたらしている一方、その持続性は需給と地政学に左右される。今後も同水準で成長が続く確証はない。
サムスン電子の急成長は新時代の到来を示すが、その裏側では構造的な不確実性も同時に拡大していると言える。
※HBM:複数のメモリーチップを積層し高速・大容量を実現する先端メモリー。AI処理に不可欠とされ、GPUと組み合わせて使用される。