2026年3月31日、テレビ朝日ホールディングスは定例会見で、早河洋会長の思考を再現する「AI早河会長」を開発したとメディアが報じた。生成AIと3D技術を活用し、経営トップの価値観を社内に浸透させる新たな試みである。
AIで会長の思考再現、社内活用へ
テレビ朝日HDが発表した「AI早河会長」は、過去の発言や社内データを学習した生成AIと3Dモデリングを組み合わせて構築されたアバターである。社員からの質問に対し、会長の視点に基づく回答を生成する仕組みとなっており、単なるFAQツールとは一線を画す存在といえる。
早河氏は1967年入社の生え抜き経営者で、「ニュースステーション」の立ち上げなど報道分野で実績を積んできた人物だ。若手社員にとっては、経営層の思考に触れる機会が日常化する点が特徴的である。
活用は社内イベントや企画立案時の「壁打ち」に加え、対話型の意思決定支援にも広がる見通しだ。
西新社長は、AI活用の理解促進と組織メッセージの浸透を狙った取り組みであると説明しており、企業文化の伝承手段としての側面も強い。
経営AIは組織変革を加速するか
経営トップの思考をAI化する動きは、意思決定の効率化とナレッジ共有を同時に実現する可能性を持つ。特にメディア業界のように迅速な判断が求められる領域では、中間の行程を省略でき、その効果は顕著になると考えられる。
一方でAIが再現するのはあくまで過去データに基づく思考であり、環境変化への柔軟な対応力には限界がある。また、特定の価値観が強化されすぎることで、多様な視点が失われる懸念もある。組織の硬直化を招く可能性も否定できない。
類似事例としては、2024年東京都知事選で公開された「AIゆりこ」が挙げられるが、政治・企業を問わず「人格のデジタル化」は広がりつつある。
今後は、誰の思考をどのように再現するかという設計そのものが競争力になるだろう。