2026年3月19日、米PerplexityはAI搭載ブラウザー「Comet」のiOS版を公開した。これによりiPhoneでも、ブラウザー内でAIによる検索支援や調査、作業代行が可能となり、モバイルでの情報取得のあり方が変わり始めている。
AIブラウザ「Comet」iPhone対応
Perplexityが公開した「Comet」のiOS版は、従来のブラウザーにAIアシスタント機能を統合した点に特徴がある。これまでデスクトップやAndroidで展開されていた同サービスがiPhoneに対応したことで、モバイル環境でも一貫したAI体験が実現した。
iOS版では音声モードが標準搭載されており、ユーザーは話しかけるだけで、閲覧中のタブ内容を踏まえた回答を得られる仕組みだ。検索と閲覧が分断されていた従来の体験と異なり、文脈理解を前提とした対話型インターフェースへ移行している点が特徴といえる。
検索機能は二層構造となっており、簡易な情報取得には従来型の検索結果を提示する一方、より複雑な問いには「Comet Assistant」が応答生成を担う。また、「Deep Research(※)」機能により、出典付きでの情報収集や要約が可能となり、医療や就職活動といった高精度領域への活用も想定されている。
さらに、カレンダー確認や会議相手の事前調査、質問案作成、フォーム入力支援など、複数のタスクを横断して処理できる点も特徴だ。デスクトップで開始した調査をiPhoneで継続できるなど、デバイス間のシームレスな連携にも対応している。
※Deep Research:複数の情報源を横断的に収集・分析し、出典を明示しながら要約や回答を生成するAI機能。高度な調査や意思決定支援を目的とする。
利便性と依存リスク AIブラウザの行方
Cometの普及は、検索体験を「情報取得」から「実行支援」へと変化させた。ユーザーは自ら検索結果を比較するのではなく、AIに目的を伝えて最適な回答を受け取る形へと移行しつつあり、業務効率の向上が期待される。
特にモバイル環境では、音声操作と文脈理解の組み合わせにより、短時間での意思決定が容易になると考えられる。移動中でも高度な調査やタスク処理が可能となるため、ビジネスシーンにおける生産性の底上げにつながると言える。
一方で、AIによる回答生成への依存が進むことで、情報の真偽をユーザー自身が検証する機会が減少する懸念もある。出典提示機能があるとはいえ、誤情報やバイアスを含む結果を無批判に受け入れるリスクは依然として残る。
ユーザーの「自身で情報を収集すること」そのもののスキルが低下、または失われる可能性も捨てきれない。
加えて、ユーザーの閲覧履歴や意図を深く理解する設計は、プライバシー面での議論を招く可能性がある。
今後は利便性とデータ管理のバランスが重要な論点となり、AIブラウザの競争は機能性だけでなく信頼性の領域へと広がっていくと予測される。
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