2026年3月17日、三菱重工業は、米Shield AIのAI開発環境「Hivemind Enterprise」を活用し、無人機向けミッション・オートノミーの飛行実証に成功したと発表した。開発から実機飛行までを8週間で完了し、防衛AIの開発構造に変化が生じている。
無人機AI、8週間で飛行実証成功
三菱重工業は、無人機に搭載するミッション・オートノミー(※)の開発において、従来の工程を大幅に短縮した。これまで同社は複数のオープンソースを組み合わせ、コーディングからAI学習、シミュレーション評価、Hardware In The Loop(HIL)(※)試験までを自社で構築してきたが、その運用には多大な工数がかかっていた。
今回の開発ではShield AIのHivemind Enterpriseを採用し、開発基盤を統合。環境構築の負担が軽減されたことで、エンジニアはミッション・オートノミーの設計に集中できる体制へ移行した。その結果、AIの設計から実機搭載、飛行検証までをわずか8週間で完遂した。
開発は2025年9月に開始され、11月に茨城県、12月に群馬県のテストフィールドで飛行実証を実施した。完成したAIは国産無人機「ARMD」に搭載され、自律飛行を実現している。
従来は数カ月以上を要したプロセスが圧縮された点は、開発手法そのものの転換を示すものといえる。
※ミッション・オートノミー:無人機が人の操作なしに任務を判断・遂行するAI技術。環境認識や意思決定をリアルタイムで行う。
※HIL試験:実機ハードウェアを接続し、シミュレーション環境で動作を検証する試験手法。実運用に近い評価が可能。
開発加速の利点と技術主権リスク
今回の取り組みは、防衛AI開発における時間短縮という明確なメリットを示した。開発基盤を外部化することで、エンジニアは本質的なアルゴリズム設計に集中でき、試行回数の増加と性能向上が見込まれる。結果として、無人機の高度化や実用化のスピードは一段と加速する可能性が高い。
一方で、海外プラットフォームへの依存は無視できないリスクを伴う。基盤技術のブラックボックス化や、将来的な制約変更による開発停滞といった懸念が残る。また、情報漏洩への対策も必要だ。
防衛分野では、技術主権の確保が国家レベルの課題となるため、外部依存の度合いは慎重に管理する必要がある。
今後、三菱重工とShield AIの連携が深化すれば、無人機の自律化は防衛用途にとどまらず、災害対応や物流といった民間分野にも波及する公算が大きい。
AIによる意思決定が空のインフラとなる時代に向け、日本企業が主導権を握れるかが問われている。
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