2026年3月17日、富山市は生成AIを活用したPRキャラクターを公開した。若年層への訴求強化を狙い、商用利用可能なAIツールとクリエイターの協働で制作。自治体広報における新たな活用モデルとして注目される。
生成AIでPRキャラ創出、動画とSNSで展開
富山市は、10代から20代の若年層に向けた新たな情報発信として、生成AIを用いたPRキャラクター「やまやま」「くすくす」を開発した。地域の魅力を親しみやすく伝えることを目的とし、今後はキャラクターを軸にしたプロモーションを本格展開する方針である。
制作プロセスでは、富山市を象徴するキーワードや画像を生成AIに入力し、約2500点のキャラクター案を提示。その後、クリエイターと協議しながらキーワードを18点に絞り込み、複数回の再生成を経て原案を作成した。最終的にはクリエイターが調整を加え、完成度を高めている。
安全性への配慮として、商用利用が可能な画像生成AI「Adobe Firefly(※)」を採用し、生成画像は人手で修正。さらにチェックツールにより類似性を検証し、著作権リスクの低減を図った。完成したキャラクターはショートアニメとして公開され、オリジナルソングやコミカルな掛け合いを通じて拡散を狙う。
加えて、SNS上ではフォロワー拡大キャンペーンも実施されており、デジタルインセンティブを活用した参加型施策も展開中だ。キャラクターとデジタル施策を組み合わせた統合的なPR戦略が特徴となる。
※Adobe Firefly:米Adobeが提供する画像生成AI。著作権に配慮した学習データを用い、商用利用が可能な点が特徴。
低コスト化と独自性リスク、共創が鍵
生成AIの導入により、従来は時間とコストを要したキャラクター制作が短期間で大量に試作可能となった。様々なデザイン案を元に最善の選択肢を得ることができる点は大きなメリットだ。
一方で、生成物の品質や独自性の担保は課題として残る。AIは既存データを基に生成するため、意図せぬ類似や表現の均質化が起こりうる。結果として、他地域との差別化が難しくなり、ブランド価値が希薄化するリスクもある。
また、著作権や倫理面でのチェック体制が不十分な場合、炎上や法的問題に発展する可能性も否定できない。今回のように人間による最終調整と検証プロセスを組み込むことが、実運用における前提条件となる。
今後は、AIを単なる制作ツールとしてではなく、企画から運用までを含めた“共創基盤”として活用できるかが焦点となる。
富山市の事例はその初期モデルと位置付けられ、他自治体や企業への波及が進むかが注目される。
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