2026年3月12日(米国時間)、米Googleは、公開情報をAIで解析し洪水データを構築する新手法「Groundsource」を発表した。都市部で突発的に発生する鉄砲水を最大24時間前に予測するモデル開発に活用される。災害予測の高度化が現実味を帯びてきた。
公開情報×AIで鉄砲水予測へ
Googleが発表したGroundsourceは、公開されている報告書や記録をAIで解析し、洪水発生に関する高品質なデータとして再構築する手法である。従来は地域ごとに分散し形式も統一されていなかった災害データを、横断的に整理できる点が特徴だ。
同社は生成AI「Gemini」を用いて数十年分の公開レポートを解析し、150カ国以上で発生した260万件以上の洪水事例を特定した。さらに「Google Maps」を活用して各事例の地理的範囲を特定し、都市部の鉄砲水(※)に焦点を当てたデータセットを構築している。
このデータを基に新たなAIモデルを学習させることで、都市型鉄砲水を最大24時間前に予測する取り組みが進められている。
これまで鉄砲水は短時間で発生する特性から予測が難しく、精度の高い過去データの不足が課題となっていた。
同モデルによる予測は洪水情報サイト「Flood Hub」で利用可能となる見通しであり、既存の河川洪水予測と統合される。また、データセットとモデルは「Google Earth AI」の一部として公開され、研究者やパートナーが活用できる基盤として提供される予定だ。
※鉄砲水(フラッシュフラッド):短時間の集中豪雨などにより急激に発生する洪水。発生から被害拡大までの時間が極めて短く、従来の予測や避難対応が難しいとされる。
防災高度化の恩恵とAI依存の課題
Groundsourceにより、防災分野における意思決定の質は大きく引き上がるだろう。都市型鉄砲水を事前に把握できれば、避難指示の迅速化や交通・インフラの制御判断が精緻化し、被害の最小化につながると考えられる。
さらに、データとモデルが外部に公開されることで、各国の自治体や研究機関が同一基盤を活用できるようになる。これにより、都市災害予測の標準化や国際的な連携強化が進む可能性があり、防災のグローバル化が加速する展開も想定される。
一方で、公開情報に依存するデータ構築には限界も存在する。報告精度や記録の粒度は地域によって差があり、データの偏りが予測精度に影響を与えるリスクがある点に注意が必要だ。
気候変動により都市型災害の頻度が高まる中、AIによる予測技術は不可欠なインフラへと進化しつつある。
今後は精度向上に加え、データの透明性や説明可能性の確保が重要な論点になると言える。
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