2026年3月2日、米アマゾンがスペインのデータセンター拡張と人工知能(AI)基盤強化に向けて180億ユーロを追加投資すると発表した。これにより同国への総投資額は337億ユーロに達し、欧州におけるAI拠点化が一段と進む見通しとなった。
総額337億ユーロ、雇用3万人創出へ
今回の追加投資は、アマゾンのクラウド部門であるAWS(※)を中核に、スペイン国内のデータセンターを拡張し、AI処理能力を強化するものだ。発表はバルセロナで開幕した世界最大級の通信見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」の場で行われた。
最高国際業務・法務責任者デービッド・ザポルスキー氏は、今回の投資により2035年までに約29,900人の雇用が創出されるとの見通しを示した。
アマゾンはすでにアラゴン州のデータセンターに157億ユーロを投じる計画を公表しており、2033年までに地元企業で年平均1万7500人の雇用が生まれると見込まれている。
これらを合わせ、スペインへの総投資額は337億ユーロに達することになる。
※AWS:アマゾン・ウェブ・サービス。アマゾンのクラウドコンピューティング部門で、企業向けにサーバーやストレージ、AI開発基盤などを提供する世界最大級のクラウドサービス。
欧州AI主導権と電力リスクの行方
今回の巨額投資は、欧州域内でのAI演算基盤を確保するという戦略的意義を持つと考えることができる。生成AIや高度なデータ分析の需要が拡大するなか、計算資源を域内に集積できれば、データ主権の確立や企業誘致の加速につながることもあるだろう。
スペインにとっては、雇用創出と産業高度化を同時に狙う好機と言える。
一方で、大規模データセンターは膨大な電力を消費する。再生可能エネルギーとの整合性や送電網の強化が追いつかなければ、社会的コストが増大する懸念もある。
AI需要が想定以上に伸びれば、追加投資が継続する可能性もあるが、エネルギー制約が成長の上限を規定する局面も考えられる。
スペインが名実ともに欧州のAI中心地となるかは、インフラと人材戦略の両立にかかっていると考察される。
