2026年2月23日、ロイターは米政権高官の発言として、中国のAI新興企業ディープシークが最新AIモデルの訓練に米エヌビディア製「ブラックウェル」を使用した可能性があると報じた。事実であれば米国の対中輸出規制に抵触する恐れがある。
米高官、ブラックウェル使用を指摘
米政権高官は23日、中国のAI新興企業ディープシークが早ければ来週にも公開予定の最新AIモデルについて、米半導体大手エヌビディアの最先端AI半導体「ブラックウェル」で訓練されたとの見解を示した。ブラックウェルは大規模AIモデルの学習に特化した次世代GPU(※)であり、米国は対中輸出を厳格に制限している。
高官によれば、同社は米国製AI半導体の使用を示すテクニカル指標を削除すると米政府はみているという。さらに、ブラックウェルは中国・内モンゴル自治区にある同社データセンターに集積されている可能性が高いとの情報も示された。
ただし、米政府がどのように情報を入手したのか、またディープシークがブラックウェルをいかに調達したのかは明らかにされていない。
これについてエヌビディアはコメントを控え、米商務省とディープシークも回答していない。
ワシントンの中国大使館は、国家安全保障概念の拡大解釈や輸出規制の政治利用に反対するとの立場を表明した。
※GPU:画像処理装置。現在はAIモデルの学習・推論を高速化する中核半導体として活用される。
規制強化とAI覇権の分水嶺に
今回の指摘が事実であれば、米国の対中半導体規制の実効性が問われる局面となる。最先端チップの流出が確認されれば、規制は一段と強化される流れとなるだろう。
米国内では安全保障を理由に、AI向け高性能半導体の管理をさらに厳格化すべきだとの声が強まる可能性もある。
一方で、中国企業が最先端チップを確保できたとすれば、AIモデルの性能向上という観点では大きな競争力を得ることになる。計算資源の確保は生成AIの精度や推論速度を左右する決定的要素であり、技術開発の加速につながる余地もある。
しかし、輸出規制違反が認定されれば、追加制裁や取引制限といったリスクが現実味を帯びる。米中間の技術摩擦が激化すれば、グローバルな半導体供給網やAI開発エコシステムにも波及しかねない。
AI覇権を巡る攻防は、規制と技術革新のせめぎ合いという新たな段階に入りつつあると言える。
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