2026年2月16日、ブルームバーグは米AIスタートアップのアンソロピックがインドでの導入を拡大していると報じた。エア・インディアやコグニザントと提携し、エージェント型AIを大規模展開する。インドが世界AI競争の重要拠点へと浮上している。
エア・インディアらが本格導入
アンソロピックは主力のエージェント型AIコーディング支援ツール「Claude Code」をインド主要企業に導入していると発表した。エア・インディアは独自システム開発に同ツールを活用しており、開発工程の効率化と高度化を同時に進めている。
ITアウトソーシング大手のコグニザントは、旧来型システム刷新を目的に世界35万人の従業員へ同AIを展開していると明らかにした。エージェント型AI(※)は、与えられた目標に基づき自律的にタスクを分解し実行する技術であり、従来の対話型AIよりも業務統合力が高いとされる。
共同創業者兼CEOのダリオ・アモデイ氏はインドで開発者向けイベント「Anthropic Builder Summit Bengaluru」を主催し、「導入スピードは他地域より急速だ」と強調した。同国での年間換算売上高が4カ月で倍増した事実も公表している。今週開催のインドAIインパクトサミットにも参加し、国家規模のAI戦略と歩調を合わせる構えだ。
※エージェント型AI:人間の指示に基づき、自律的に計画立案から実行まで行うAI技術。複数工程を横断して処理できる点が特徴で、業務自動化の中核と位置付けられる。
巨大市場が生む機会と課題
インド市場の強みは、豊富なエンジニア人材と数億人規模のデジタルユーザー基盤にある。基盤がしっかりしていることにより、教育や法務、農業分野で現地言語対応のAI活用が進み、実証から社会実装までの速度が加速する可能性が高い。グローバル企業にとっては、製品改良とスケール検証を同時に行える理想的な環境となる。
一方で、急速な自動化は雇用構造に変化をもたらす恐れもある。特にアウトソーシング産業では、単純作業の代替が進めば再教育や職種転換が不可避となるだろう。データ保護や規制整備の遅れが競争力を左右するリスクも無視できない。
それでも、主要AI企業の経営トップが相次ぎインドに集結している現状は象徴的である。
市場拡大と政策支援が両立すれば、インドは単なる受け手ではなく、AI技術創出の中心地へ転換する可能性がある。
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