2026年2月10日、米国発の報道によると、ロイターは、ベセント米財務長官が、米連邦準備理事会(FRB)の次期議長に指名されたケビン・ウォーシュ氏の下で、人工知能(AI)の進展が雇用に与える影響を注視する方針を示したと伝えた。金融政策がテクノロジー前提で再設計される可能性が浮上している。
FRB、AIと雇用のズレ監視を明言
ベセント長官は10日、ウォーシュ氏が議長に就任した場合、FRB(※)はAIの急速な進歩を踏まえ、雇用と生産性の動きに「タイミングのミスマッチ」が生じないかを注意深く監視するだろうと述べた。
同氏は、歴史的には生産性向上が雇用増加を伴ってきたとの認識も示した。
あわせて2025年第4四半期の米経済成長率は平均4.1%に達し、インフレが抑制されれば名目GDP成長率は6%に到達する可能性があるとの見通しも示された。
AI投資と堅調な景気が同時進行する局面に入りつつあることがうかがえる。
※FRB:米国の中央銀行制度。政策金利や通貨供給を通じて物価安定と雇用最大化を担う機関で、世界の金融市場に強い影響力を持つ。
成長加速か雇用不安か、政策の分水嶺
FRBがAIの雇用影響を金融政策の監視対象に加えることは、景気判断の枠組みを大きく変えることとなるだろう。物価と失業率に加え、技術革新の速度や自動化投資の進展が利下げ・利上げの判断材料となり、金融政策はより「未来志向型」へシフトすると考えられる。企業にとっては安定した資金環境が維持されやすく、AI関連投資やスタートアップ創出の追い風になる。
一方で、効率化が急速に進めばホワイトカラー職の代替が進み、雇用の受け皿が不足するリスクもある。賃金格差や再教育コストの増大が社会課題として顕在化すれば、金融政策だけでは解決できない局面も想定される。過去の成長データを基にした発言なこともあり、成長と分配のバランスをどう取るかが注目される。
AIは経済の生産性を押し上げるエンジンであると同時に、労働市場を揺さぶる変数でもある。
FRBがその影響をどこまで定量化し政策に反映できるかが、米国経済の次の10年を左右することになるだろう。
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