2026年2月6日、キンドリルジャパンは国内で、エージェンティックAIを活用したSAPモダナイゼーションの新アプローチを発表した。SAP ECCからS/4HANAへの移行を迅速かつ低コストで実現する「クリーンフィールド」の提供を開始する。
エージェンティックAIで移行自動化
同社が提供を始めたクリーンフィールドは、既存システムをそのまま持ち上げる従来型移行とは異なり、AIでコードや業務プロセスを解析しながら再構築する“再設計型”の手法である。Nova Intelligenceと連携し、SAP ECCのカスタマイズや修正箇所にエージェンティックAI(※)を適用。影響範囲の特定、改修、最適化を自動化することで、作業工数を大幅に削減する。
これにより、データやプロセスを整理したクリーンコア移行を実現し、将来のアップグレードや機能追加を妨げるレガシー資産を最小化する狙いだ。また、SAP Business Data CloudとDatabricksを統合し、SAPと非SAPデータを横断的に集約。生成AI「Joule」による分析基盤を組み合わせ、業務判断に直結するインサイト創出も支援する。
さらに、フィットギャップ分析からデータ移行、本番後の最適化までを一気通貫でカバーする体制を整備。SAP Signavioによるプロセス可視化や、LeanIXのAI機能による資産管理の自動化も組み込み、移行と同時に業務変革を進められる点が特徴となる。
※エージェンティックAI:自律的に判断・実行するAI。複数工程を連携させ、コード解析や設計変更など高度な作業を人手を介さず進める技術。
迅速化の恩恵とAI依存の課題
メリットは明確である。AIが設計や改修の大半を担うことで、移行期間は短縮し、コストの見通しも立てやすくなる。標準機能中心のクリーンコア構造は将来の拡張性を高め、M&Aや新規事業への対応力も向上する。ERPを“攻めの基盤”へ転換できる可能性がある。
一方、AIの自動判断に委ね過ぎれば、現場固有の業務要件や暗黙知が反映されないリスクも残る。ブラックボックス化やガバナンス不足は新たな技術的負債になりかねず、専門人材による統制と検証が不可欠になる。
SAP刷新需要は今後数年でピークを迎えるとみられ、AI活用型移行は標準モデルとして広がる公算が大きい。
キンドリルの取り組みは、日本企業の基幹システム更改を「自動化前提」のフェーズへ押し上げる起点になると言えそうだ。
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