フューチャーショップがAI翻訳を標準化 ECサイトの131言語展開が容易に

2025年11月13日、国内ECプラットフォームを提供するフューチャーショップは、高電社のAI自動翻訳サービス「MyサイトAI翻訳 for EC」との正式連携を発表した。ECサイト全体を最大131言語へ自動翻訳できるようになり、海外向け販売強化を狙う企業に新たな選択肢が広がる。
AI翻訳とfutureshopが連携 タグ1行でEC全体を自動多言語化
フューチャーショップは、SaaS型ECプラットフォーム「futureshop」および「futureshop omni-channel」で、AI自動翻訳サービス「MyサイトAI翻訳 for EC」との連携を開始した。対象事業者はスクリプトタグを1行追加するだけで、自社ECサイト全体を最新のAI翻訳機能で自動多言語化できるようになる。
既存のデザイン構成や運用フローを変更する必要はなく、導入時の負荷を極めて小さく抑えられる点が特徴だ。
採用する翻訳エンジンは、世界的に評価の高い「DeepL(※)」である。自然かつ高精度な翻訳を得られるため、海外ユーザー向けの販売をスピーディに支援する。
また、翻訳の品質や精度を重視するブランドにも最適なAI翻訳基盤だとしている。
さらに、翻訳対象ページ数に上限がなく、定額モデルで運用できるため、コンテンツ量が多いEC事業者でも予算計画を立てやすい。
オプションとして、ネイティブスタッフによる翻訳品質チェックも提供する。
キャッチコピーや商品説明など、単なる機械翻訳では表現が難しい領域に対し、文化・感性のニュアンスを踏まえた校正を行う仕組みと言える。
外国語画像の制作や中国語ブランド名の検討支援も可能となっており、翻訳を超えたブランドローカライズまで対応範囲を拡大している。
※DeepL:ドイツのDeepL社が開発するAI翻訳技術。文脈の把握に強く、高精度の自然な文章生成が可能とされる。
多言語ECは参入障壁が下がる一方、品質管理と運用拡張が鍵に
今回の連携により、多言語化のハードルは大きく下がると考えられる。
特に人的リソースの確保が難しい中小ECにとって、タグ設置のみで海外展開の準備が整う意義は大きい。
大規模翻訳コストを必要としない点も、越境ECのテストマーケティングを促進するだろう。実際、初期投資を最小限に抑えながら新市場へアクセスできる点は、D2Cブランドの成長戦略に適合しやすいと言える。
しかし、AI翻訳の導入が即座に売上拡大につながるわけではない。文化背景や購買習慣の違いにより、文脈が適切でも意図が十分に伝わらないケースは残りうる。具体例として、高価格帯の商品カテゴリでは「表現の細部」がブランド評価に直結するため、人による最終チェックをどう組み合わせるかなどが今後の運用課題となるだろう。
中長期的には、AI翻訳を基点とした“運用全体の多言語化”が求められるようになる流れが来ると考えられる。
商品登録や広告運用、CRMのシナリオなど、多言語で最適化すべき領域は広い。今回の連携はその第一歩であり、国内ECが本格的に海外市場へ踏み出す転換点になると見られる。
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