Microsoft、Copilotに音声チャット機能追加 「話しかけるだけ」で業務支援が可能に

2025年11月4日、米MicrosoftはAIアシスタント「Microsoft 365 Copilot」に音声チャット機能を追加したと発表した。モバイル版で先行提供を開始し、年末までにデスクトップとWeb版にも展開される予定である。
Copilotが声で応答、移動中でも業務を進行可能に
Microsoftは、Microsoft 365 Copilotに音声チャット機能を導入した。
ユーザーは入力欄のボタンから音声モードを起動し、端末に話しかけるだけで指示や相談ができる。
発話中にユーザーが割り込んだ場合、Copilotは応答を止めて指示内容を聞き取るように設計されている。
さらに、一時的に認識を停止するミュート機能も用意され、周囲の状況に応じた使い分けが可能となる。
音声チャット中の会話内容はすべて自動で文字起こしされ、チャット履歴として保存されるため、移動中に行った思考整理やメール草案を後からPCで引き継ぐことができる。これにより、画面操作が困難な状況でも作業の中断なく業務を進行できる点が特徴とされる。
なお、現在は1日の利用量に制限があり、上限に近づくとアプリ内で通知が表示される。
この機能はすでにCopilotライセンス契約者向けモバイルアプリで提供されており、Microsoftは年末までにデスクトップ版とWeb版への展開を進める見通しだ。
今後数カ月以内には、非契約者向けにも利用範囲を広げる予定とされる。
生産性向上の追い風に 一方でAI依存の深まりも懸念
今回の音声チャット追加は、AIアシスタントの役割が「タスク処理」から「常時伴走」へと変化することを示している。
特に、移動中や打ち合わせ準備など、細切れの時間を生産的に転換できる点は多くのビジネスパーソンにとって利便性が高いだろう。
また、文字起こしによる作業の連続性確保は、思考ログを蓄積する「第二の記憶装置」として機能する可能性もある。
しかし、AIが常に側にいる設計は、意思決定プロセスがAI提案に引き寄せられやすくなるという課題を孕む。
さらに、提案結果をそのまま採用し続けることで、個人の判断力や文章構成力が徐々に希薄化するリスクも否定できない。
また、音声認識の精度は話者のアクセント、背景ノイズ、業務特有の専門語によってブレが生じる可能性があり、誤情報がそのまま蓄積される危険もある。
今後、非契約者にも提供が進むことで、音声対話型AIはより日常的なツールとなるだろう。利用者側には、「いつ音声に頼り、いつ自ら考えるのか」という判断基準を持つことが求められる段階に入ったと言える。
関連記事:
マイクロソフト、Windows11でAI強化 コパイロットが音声対応で作業効率を革新












