電通デジタル、広告制作支援AIエージェント「∞AI Ads2」社内運用へ

2025年7月30日、電通デジタルは、広告制作支援ソリューション「∞AI Ads(ムゲンエーアイ アズ)」を刷新し、AIエージェントを搭載した「∞AI Ads2」の社内運用を開始した。広告効果の予測やバナー画像の自動生成など、制作工程の省力化と高速化を狙う。
電通デジタル、広告制作に特化した3種のAIエージェントを実装
電通デジタルは、デジタル広告制作の効率化を目的としたソリューション「∞AI Ads」を大幅にアップデートし、広告PDCAの高度化と迅速化を支援する「∞AI Ads2」の運用を本格化させた。
社内向けに導入された同ソリューションは、3体の特化型AIエージェントを搭載しており、制作現場における各種判断・出力の自動化を実現する。
具体的には、「チューニングされた予測エージェント」「より詳細な顧客情報を学習した提案エージェント」「バナー画像を生成する生成エージェント」の3種の機能が搭載された。これらは広告主ごとの状況に応じて個別に呼び出され、必要な処理を迅速に行う設計となっている。
「予測エージェント」は、限られた教師データでも高精度な効果予測を実行可能で、従来のモデリング工程を簡略化する。
「提案エージェント」は、企業からの許諾を得たデータやオープンな情報源から学習を行い、個別に最適化された改善提案を出力する。
「バナー画像生成エージェント」は、提案エージェントが提示した内容に沿って、10本のバナー画像を短時間で自動生成する機能を担う。
本機能により、社内における広告制作のPDCA(※)サイクルの高速化に対応する。
※PDCA:Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の業務改善手法。マーケティング領域で広く用いられている。
省力化と人材再定義 AI導入で広告制作の役割に変化か
∞AI Ads2の導入は、広告制作のスピードと精度の両面で大きな転換点となる可能性を持つ。
自動予測や画像生成により、従来は人手に依存していた分析・制作工程が効率化され、短時間で複数パターンを出力する「大量試作・高速検証」が常態化することが予想できる。
こうした変化は制作現場の役割を再定義させることにもつながるかもしれない。
提案や生成の基礎部分をAIが担うようになることで、クリエイターは「人間にしかできない判断」や「表現の最終調整」といった上流工程に注力する必要が出てくるだろう。
AIが提案するクリエイティブがブランドの文脈やトーンに即しているかを判断する作業は、今後ますます重要になると思われる。
AIによる効率化の恩恵を最大化するためには、学習データの質と量、運用ルールの整備が必要不可欠であるため、導入企業側の体制整備が成功の鍵を握ると考えられる。
今後、同様のAI活用が業界に広がれば、広告制作のコスト構造や人材配置に構造的な変化をもたらすことも大いに考えられる。
AIによる業務代替が進む中では、専門性や創造性をどのように位置づけし直すかが、広告業界の持続的成長を左右するだろう。