2026年7月30日、滋賀県と日立システムズ、インテグリティ・ヘルスケア、ANA X、沢井製薬などで構成する日本ウェルビーイングコンソーシアムは、健康データとAI分析を活用した県民向け健康アプリケーションの提供を開始すると発表した。AIが一人ひとりの健康状態を分析し、個別に健康行動を提案することで、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目指す国内の取り組みである。
AIが健康データを統合し個別支援へ
今回の事業は、滋賀県が推進する「健康しが」の一環として実施される。県が提供・運営する健康アプリ「BIWA-TEKU」を中心に、「SaluDi」や「ANA Pocket」と連携し、それぞれが取得する歩数、体重、血圧、睡眠時間、食事、移動履歴などのPHR(※)データを統合する仕組みだ。
統合されたデータは、日立システムズが提供する「健康データ分析向けアシスタントAI」が分析する。AIは利用者ごとの健康状態や将来的な疾病発症リスクを踏まえ、生活習慣の改善につながる行動を個別にレコメンドするほか、「BIWA-TEKU」上で結果を可視化する。さらに、移動や健康チャレンジに応じてポイントを付与するインセンティブも組み合わせ、健康無関心層を含めた継続的な行動変容を促す狙いである。
事業期間は2026年10月から2027年3月末までを予定しており、事前公募に応募した滋賀県民1,500人が参加する計画となっている。
※PHR(Personal Health Record):個人の健診結果や医療情報、生活習慣などの健康データを本人が一元管理し、自らの健康管理に活用する仕組み。
AI活用で自治体の健康施策は新段階へ
日本では高齢化の進展に伴い、医療・介護費の増加や自治体の保健指導を担う人材不足が課題となっている。一方で、健康に関心が薄い層へのアプローチは従来型の施策だけでは限界があり、データとAIを活用した新たな支援モデルへの期待が高まっている。
今回の取り組みは、複数の健康アプリから得られるデータを横断的に活用し、AIが一人ひとりに最適化した提案を行う点が特徴である。健康状態だけでなく将来の疾病リスクまで可視化することで、自発的な生活習慣の改善につながることが期待される。
また、ポイント付与による動機づけを組み合わせることで、これまで健康施策に参加しにくかった層への効果も検証される見込みだ。
今後は本事業の成果を踏まえ、滋賀県全域への展開に加え、市町や企業、保険者との共同利用モデルの確立が検討されている。他自治体への横展開も視野に入れており、AIとPHRデータを活用した健康づくりが自治体行政の新たな標準モデルとなるか注目される。