2026年7月2日、株式会社Picaro.aiは、Amazon広告運用プラットフォームにおいて「AIエージェント機能」を国内向けに正式公開した。対話を通じて戦略立案から入札実行までを一気通貫で自動化し、広告運用の高速化と属人化の解消を目指す。
対話から実行まで同一画面で完結するAmazon広告AIが始動
株式会社Picaro.aiが提供を開始した新機能は、独自に構築したAmazon広告分析ロジックを搭載したチャット型AIである。ユーザーがチャット画面で話しかけるだけで、季節需要に応じた戦略立案やキャンペーン作成、CPC(※)改善に向けた入札調整の提案などを自動で行う。
最大の強みは、従来のデータ分析ツールと異なり、「分析・提案」からAmazonセラーセントラルへの「実行」までを同一画面内で完結できる点だ。書き込み操作はすべてユーザーの承認を必須とする設計になっており、AIが勝手に広告設定を変更するリスクを排除している。
開発の背景には、Amazon広告運用の専門性向上に伴う担当者の負担増加がある。データの集計や手動設定の繰り返しが業務の限界を生んでいたが、同機能により最新データを毎日自動で処理できるようになる。気づいたその日に施策を打てる体制が整うことで、年間換算で100日分の行動差が生まれる計算だ。
※CPC:Cost Per Clickの略で、広告が1回クリックされるたびに発生する費用のこと。クリック単価とも呼ばれ、広告の費用対効果を最適化する上で重要な指標となる。
専門人材の育成コストをゼロへ RAG活用のAIがもたらす変革
今回の機能刷新では、同社が20年にわたり蓄積した運用ナレッジをRAG技術でAIに統合した。これにより、ベテラン担当者が持つ「セール前に予算を絞る」といった高度な判断軸をAIが再現できるようになる。
使い込むほどにブランド固有の戦略や売上目標を学習するため、自社専用の優秀なAIエージェントとして成長していく点が特徴的だ。
この仕組みは、EC運用代行会社における管理アカウント数の拡大や、社内チームの属人化解消に寄与すると予想される。
実際に導入した家電メーカーの担当者からは、データに基づく迅速なアクションが可能になり、広告費を維持したまま売上を伸ばせたという声が上がっている。
一方で、AIの提案を精査する最終的な判断は人間が担うため、運用の成否は承認側のスキルにも依存するリスクがある。
今後はDSP広告などへの対応拡大も見込まれており、チームに新たな人材を加えることなく即戦力を得る手段として、EC業界における協働モデルの試行錯誤が加速する。