BIPROGYは金融機関向け商流管理サービス「Trabotic」を2026年12月に提供開始すると発表した。
外国送金の商流情報をAIで可視化・判定し、AML対応と業務効率化を支援する国内初のSaaS型金融機関向け商流管理サービスである。
外国送金の取引リスクをAIで判定
2026年6月26日、BIPROGYは外国送金における商流管理を高度化するサービス「Trabotic(トラボティック)」を2026年12月に提供開始する。
国際業務領域で培った知見とデータ活用力を生かし、AML(※1)システム市場へ新たに参入する方針だ。
金融機関では、国際的な資金移動を悪用した金融犯罪の手口が高度化し、取引内容を確認する業務負荷が増している。
特に外国送金では、複数の事業者や取引段階が関与するため、商流の全体像を把握しにくい。人の経験に依存した確認だけでは、見落としや判断のばらつきが生じる課題がある。
また、2028年にはFATF(金融活動作業部会)による次期相互審査が予定されている。
金融機関には、リスク評価や取引管理の高度化に加え、なぜその判断を行ったのかを第三者に明確に説明できる体制の整備が求められている。
「Trabotic」は、金融機関が保有する商流情報と送金データを活用し、外国送金取引のリスクを自動判定する。
業務上定義された商流パターンとの整合性を確認し、過去の取引実績から取引傾向を分析することで、一次チェックで確認すべきポイントを明確にする仕組みだ。
AI機能の開発・提供では、AWSの生成AIサービス「Amazon Bedrock(※2)」を活用する。
生成AIの品質管理、データセキュリティー、ガバナンスに配慮した設計とし、異常判定結果や取引傾向の分析を通じて担当者の判断を支援する。
あわせて、Swift(※3)が提供するPayment Anomaly Detection APIとの接続も計画している。
※1 AML:Anti-Money Launderingの略。マネー・ロンダリングやテロ資金供与などを防ぐため、金融機関が取引の確認、リスク評価、疑わしい取引の検知などを行う対応を指す。
※2 Amazon Bedrock:AWSが提供する生成AI向けのマネージドサービス。
※3 Swift:国際銀行間通信協会。200を超える国と地域の金融機関や事業法人などをつなぐ通信プラットフォームを提供し、国際送金や金融メッセージングを支えている。
AML高度化と説明責任が導入の鍵
「Trabotic」のメリットは、外国送金業務で発生する確認作業を標準化し、リスク判定の精度と業務効率を同時に高められる点にある。
金融機関ごとに判断基準や確認手順が属人的になりやすい商流管理を、SaaS型サービスとして共通化できれば、AML対応の品質を一定水準に引き上げる効果が期待できる。
一方で、AIによるリスク判定を業務に組み込む場合、検知精度だけでなく説明可能性の確保が課題となりそうだ。
判定結果をそのまま採用するのではなく、担当者が根拠を確認し、判断の経緯を記録できる仕組みが求められるだろう。
金融犯罪対策では、効率化と同時に、監査や規制対応に耐えられる透明性を担保する必要があると考えられる。
今後は、外国送金受付ワークフロー「SurFIN(※4)」のオプション機能として展開されることで、既存業務との連携が進むとみられる。
大規模なシステム刷新を伴わずに商流管理を強化できれば、導入のハードルは下がるだろう。
さらに、生成AIやAIエージェントの活用が広がれば、AML対応は不正検知にとどまらず、情報連携と説明責任を支えるリスク管理基盤へ発展していく可能性がある。
※4 SurFIN:BIPROGYが提供する金融機関向け外国送金受付ワークフロー。顧客の送金依頼から対外決済までの事務を簡素化し、送金データのデジタル管理やMX電文の自動生成、AML対応の事務負担軽減を支援する。
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